【監修者】
岩井 隆浩(麻布十番ループル治療院 創業者)
はり師/きゅう師/あん摩マッサージ指圧師/柔道整復師
齋木 拓 (麻布十番ループル治療院)
はり師/きゅう師/あん摩マッサージ指圧師/柔道整復師/日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー
鍼灸院マーケティングは必要ですが、どのようにマーケティングをしたら良いかお悩みではないでしょうか。
この機会にマーケティングするなら、集客に繋がる方法を知りたいですよね。この記事では、鍼灸院で使える具体的な マーケティング方法や、なぜマーケティングが必要なのかを解説します。
記事を最後まで読むと、短期・長期目線で集客に繋がる方法がわかりますので、鍼灸院経営に役立ちますよ。ぜひご覧ください。
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鍼灸院に必要なマーケティング
鍼灸院に必要なマーケティングは、4P分析です。4P分析とは、1960年にマーケティング学者であるエドモンド・ジェーロム・マッカーシーが考えたフレームワークの1つです。それぞれの頭文字をとって以下のように表されます。
- Product:価値提供
- Price:値段設定
- Place:開業場所
- Promotion:周知方法
上記に適切に当てはめられるようになると、鍼灸院のマーケティングに役立ちます。開業場所について、すでに開業している場合は、開業している場所からターゲットを考えて見てください。それぞれ順に解説します。
product:価値提供
価値提供とは、自身の鍼灸院が提供できる価値です。鍼灸治療は、周りの鍼灸院も行っているため、差別化が図れません。
例えば、鍼灸の施術を受けるとどんな効果があるのか?それによって患者側にはどんなメリットがあるのか?それを叶える技術とはどんなものか?というように、来院してもらった時に提供できる価値を明確に伝えて体現できるようにしておく必要があります。
自身の鍼灸院の価値提供は、患者の利用頻度別に分けると考えやすいです。例えば以下の表のようなケースがあります。
新規患者 | 施術技術を上げ、1回目の施術満足度を上げる |
リピーター | 体調や痛みの具合からアプローチする |
しばらく来ていない方 | メールやメッセージで来院する価値があることを伝える |
このように、鍼灸院が提供できる価値を患者別に考えると効果的なマーケティングが可能です。
Price:値段設定
値段設定は、施術の値段を設定することです。競合の治療院と比べることも大切ですが、価格を安くするには限度があります。
このため、付加価値を出し、高めの料金設定でも来院してもらえる鍼灸院づくりが求められます。
例えば、問診内容を充実させ、患者の要望を細かく聞く、値段が高くなりがちになる理由(国家資格保有者の施術・使い捨ての鍼や消毒液などの材料費がかかる)を説明するなどが挙げられます。
値段設定を適切に行い、身体のメンテナンスとして通ってもらえる鍼灸院づくりも大切です。
Place:開業場所
開業場所は、文字通り、鍼灸院の開業場所を指します。開業しても患者が来てくれないと経営が成り立たないため、開業場所はかなり重要です。
また、変更したいからといってすぐに変えられないという部分がポイントです。
一例として、以下のような場所が挙げられます。
- 駅前
- 大通り
- 商店街
- 自宅(住宅地)
各場所の大きな違いは患者層です。街の人々の動きと導線を把握しましょう。患者層により、求められる施術が異なるため、自分がやりたい施術・得意分野にマッチするところがおすすめされます。
開業エリアを選定する際のポイントを解説!詳しくはこちら↓
Promotion:周知方法
周知方法は、鍼灸院を患者に知らせる方法です。鍼灸院に患者が来て、施術してはじめて売り上げになるため、看板や広告が必要になります。
アナログな方法の代表例は口コミやチラシ配布、デジタルの代表例は、ホームページ制作、公式LINE、Instagramなどです。患者に自身の鍼灸院を周知し、来院そして売り上げに繋げることが大切です。
Instagramを利用した集客方法やポイントについて解説!詳しくはこちら↓
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鍼灸院にマーケティングが必要な理由
鍼灸院にマーケティングが必要な理由は、ライバル院が多い割に利用者が少ないので、患者の取り合いが起きていると考えられるからです。
この章では、ライバル院の数や、利用者の数を統計データを用いて解説します。新規患者の獲得にはどこも苦労されているため、利用したいと考えている方をいかに自身の鍼灸院に来てもらうかを考えることが大切になります。
ライバル院が多い
ライバル院が多いため、マーケティングを活用し集客しないと顧客を獲得できません。
厚生労働省発表の2022年度あん摩マッサージ及び指圧・はり・きゅう並びに柔道整復の施術所数,業務の種類・都道府県別調査によると、鍼灸院だけで全国に33,986カ所あります。この数を身近な存在である郵便局の数と比較したのが以下の表です。
鍼灸院 | 郵便局 |
33,986カ所 | 23,604カ所(2023年10月現在) |
参照元:郵便局局数<オープンデータ>
鍼灸院の方が、郵便局よりも約1万カ所多くあります。郵便局を街中でよく見かけるように、鍼灸院も身近な範囲でたくさん存在することがわかります。
利用者が少ない
補助金や助成金情報を扱うJ-Net21の2020年の調査によると、鍼灸院の現在の利用率は、2〜6%です。つまり、鍼灸院の数と比較して利用者が少ないです。
一方、今後利用したいと考えている方は全体で15%です。このため、鍼灸院に興味がある方をいかに来院させるかが鍵となります。
さらに大多数の残りは利用を考えていない層ですので、身体のメンテナンスの重要性などを健康イベントなどで啓発し認知させることも有効であると考えられます。
参照元:J-Net21
マーケティングを元にした集客方法
マーケティングを元にした集客方法の代表例は以下のとおりです。
- ホームページ制作
- ランディングページ
- 公式ライン
- MEO対策
- 動画制作
- チラシ作成
スマホの普及により、最近はwebを利用した方法が一般的です。
一方で、ターゲットによってはアナログな方法の方が受け入れられる場合があります。ターゲットによって使い分けると効果的なためそれぞれ解説します。
ホームページ制作
スマホが普及し、インターネット検索が主流になった現在、ホームページ制作は有効な集客方法の一つです。ホームページの記載内容の具体例は以下のような場合が考えられます。
- 来院案内
- 施術内容
- お客様の感想
- 質疑応答(QandAコーナー)
- お問い合わせ
患者は来院するにあたって、出来るだけ不安を取り除きたいと考えるものです。このため患者目線の情報を盛り込み、安心感を持ってもらえるように作成します。
ランディングページ
ランディングページとは、Web上に掲載する縦長の1ページで完結する広告です。このため、施術メニューなど必要事項をまとめるだけで問い合わせを促す役割があります。
ブログやホームページは鍼灸院の情報をテーマ別に書き、読ませる事が目的であるため、途中で読むのが億劫になると、離脱しやすいです。
一方、ランディングページはタップしてスクロールして最低限必要な情報を見せる書き方をするため、問い合わせ(コンバージョン)に繋がりやすい方法です。
公式ライン
公式LINEは、鍼灸院の集客方法の一つとして有効です。総務省の統計【令和3年度】主なソーシャルメディア系サービス/アプリ等の利用率では、20代〜50代のLINE利用率は90%以上というデータがあるためです。
メッセージのやり取りで予約受付を行ったり、予約のリマインドをしたりできるため新規患者よりもリピーター向けのサービスです。利用率の高いアプリを利用しているため、鍼灸院でも取り入れて展開する価値があります。
MEO対策
MEO対策とは、Googleマップ上で検索上位に表示させる対策です。この対策が有効なのは、鍼灸院を探す際に「〇〇駅 鍼灸院」など、地名+施設名で検索機会のある業態と相性が良いためです。
この検索で上位表示できれば、選ばれる確率が上がるとともに、ルート検索を利用して来院してくれる可能性も上がります。Googleマップ上で様々なアクションをしてもらうことで検索順位が上がりやすくなります。MEO対策は自院で対策できるので設定する価値があります。
鍼灸院に必要なMEO対策について詳しくはこちら↓
動画制作
動画制作は鍼灸院の集客の1つになる可能性がある方法です。例えば、施術風景や先生方の紹介などに活用できます。
鍼灸院では、ホームページやブログを補助する役割として活用していることが多く、内容を凝るよりも分かりやすさを重視する傾向にあります。
最寄駅から少し離れているなどの場合に、道順を動画で説明するような使い方もできるため、言葉で伝わりづらい部分に使うと効果的です。
チラシ作成
チラシ作成は、折り込みやポスティングを利用する方法です。チラシを見せることで家族や知人と内容をシェアできるため、1通あると集客につながる場合があります。
このため、新聞をとっている世帯や高齢世帯など、紙や文字に親しみのある世代に効果的な方法です。
一方で、チラシの印刷代の高騰や反応率の低さが課題となるため、発行の妥当性や費用を計算する必要があります。特に高齢世帯がメインになるので、大きくはっきりとした字で見やすいチラシ作成を心がけるのがポイントです。
マーケティングを成功させるには
マーケティングを成功させるためには、以下の3つを意識すると成功率が上がります。
- ターゲットを明確にする
- 短期目線と長期目線を意識する
- 技術やコミュニケーション能力を磨く
せっかく患者がきても技術やコミュニケーションが未熟だとリピーターに繋がらず、長期的に安定しにくくなります。そうならないように、読み進めてください。
ターゲットを明確にする
ターゲットを明確にすることは、マーケティングを成功させる上で大切です。ターゲットと施術内容がズレていると、どんなに素晴らしい施術でも患者が来てくれないからです。ターゲットと施術内容の一例は以下の通りです。
ターゲット | 施術内容 |
オフィスで働く方 | 肩こり解消・リラクゼーション |
運動する方 | 筋肉へのアプローチ |
高齢者 | 訪問鍼灸 |
短期目線と長期目線で考える
マーケティングは短期目線と長期目線で考えることが大切です。短期目線とは、ホームページ制作やチラシ作成など、「実行により、即効性があるもの」です。
反対に長期目線とは、口コミを集めたり、ブログを更新したりなど「時間はかかるけど、信頼性につながるもの」が挙げられます。
短期目線の対策と長期目線の対策を同時にスタートさせ、地域に根差した鍼灸院を育てていくイメージで取り組ましょう。
技術やコミュニケーションを高める
マーケティングした結果、最適な方法を実行しても技術やコミュニケーションが伴わないと、患者は離れてしまいます。
施術技術は、セミナーや講習で学べます。コミュニケーションは、施術に必要な範囲から、関連するプライベートに広げていくと会話しやすくなります。
なお、施術中は施術に集中したい患者が多く、問診時に患者とコミュニケーションをとることが望ましいです。
正しくマーケティングして鍼灸院の売り上げに繋げよう
正しいマーケティング方法がわかり、実行すると鍼灸院の売り上げに繋がります。まずは、4P分析を行い、自身の治療院を客観的に分析することがおすすめです。
マーケティングを元にした集客方法は、webを活用した方法がメインとなります。一方でターゲットによってはアナログな方法でも効果が期待できます。
マーケティングを元に、短期目線のものと長期目線のものを考え、鍼灸院の売り上げに繋がるように実行してみましょう。
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監修者プロフィール
- 大学卒業後、東京医療専門学校に進学。鍼灸マッサージ師、柔道整復師の国家資格を取得。整骨院や整形外科などの医療機関にて臨床現場を経験し、その後カナダ・トロントへ留学。現地治療院にて臨床を経験し、帰国後、麻布十番に治療院を開業。
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