【本記事の監修者】
岩井 隆浩(麻布十番ループル治療院 創業者)
はり師/きゅう師/あん摩マッサージ指圧師/柔道整復師
治療院の屋号(名称)をつける時にどのような屋号をつけるべきか迷うものです。
この記事では、そもそもなぜ屋号が大切なのか、屋号をつける上でのコツ、注意点などを分かりやすく解説します。
屋号は一度決めると簡単に変更できないこともあり、開業の際には早いうちに決定する必要があります。これから治療院開業を検討する方はぜひ最後までご覧ください。
治療院の屋号が大切な理由
治療院の名前(屋号)は、検索や地図上での表示、銀行口座開設などの観点から非常に重要です。
成功裏に開業を進めるためには、適切な屋号の選定が不可欠です。
それぞれの理由について順を追って説明いたします。
検索で治療院を探すから
スマホを一人一台持つようになり、インターネット検索がより一般的になりました。治療院の検索も例外ではなく、屋号が検索対象になります。
たとえば、〇〇駅前治療院という屋号にしていて「〇〇駅 治療院」と検索されるとページの上位に表示されやすくなります。
一昔前の口コミによって紹介により顧客が増えていく場合と異なり、現代ではスマホで検索して治療院を探す場合も多い為、わかりやすい屋号をつける必要があります。
MEO対策になるから
MEO対策とはMap Engine Optimization(マップエンジン最適化)の頭文字です。具体的には地図上に自身の治療院を表示させる対策を指します。
屋号をつけていると、屋号を地図上に表示させることが可能です。治療院を検索したあとは、地図を頼りに目的地へと向かいます。
このため地図上に屋号が表示されると他のライバル治療院と差がつきます。わかりやすい屋号をつければMEO対策にもなり、集客に繋がります。
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銀行口座を治療院名義でつくれるから
開業届を提出する際に屋号を記載すれば、屋号で銀行口座を開設できます。
屋号で銀行口座が開設できれば、治療院で使用したお金のやりとりを治療院名義(屋号)で行えます。
取引は屋号の口座でされるため、個人の口座よりも事業の信用性が増します。
また、確定申告も屋号の口座の取引を元に申告できるため、事業用の口座があると便利です。
屋号の付け方のコツ
集客につながるわかりやすい屋号の付け方のコツを紹介します。
ポイントを押さえると簡単につけることができますよ。
患者さんにとってわかりやすい屋号にする
治療院を利用するのは患者さんです。
このため、治療院の屋号は患者さんにとって分かりやすい屋号にします。
あまり良くない例として、馴染みのない横文字、難読漢字を用いた屋号があります。
馴染みのない横文字では、そもそも覚えてもらえません。
また難読漢字(旧字体などを含む)はスマホの検索で出てこないため、検索することが難しくなります。
自分が治療院を利用する患者さんになったつもりで、分かりやすい屋号をつけると良いでしょう。
施術内容に基づく屋号にする
屋号の付け方の一つに施術内容を入れる方法があります。
町中でよく目にする〇〇接骨院、〇〇鍼灸院などは一目で何をする場所か分かります。
患者さんはそれぞれ体の悩みを抱えているため、屋号に施術内容を入れると効果的な集客が可能です。
地名を入れた屋号にする
その土地の名前や公共交通機関の駅やバス停名を屋号にするのもおすすめです。例えば、〇〇駅前整骨院、〇〇(具体的な地名)接骨院などです。
地名を屋号にすると検索されやすい特徴があります。体の不調をかかえている状態で「〇〇駅 整体」と検索すると〇〇駅周辺の治療院が表示されます。
この検索をする方は治療院に行く前提で検索していることが多いため、リピーターのみならず、新規患者の効果的な集客になります。
屋号をつける上での注意点
屋号として使いたい名称には法律で規制されているものもあります。この章では、法的に使えない名称を中心に解説します。
屋号は医療法にふれないものにする
治療院の屋号には医療法第3条により、使用できない名称があります。
”第三条 疾病の治療(助産を含む。) をなす場所であつて、病院又は診療所でないものは、これに病院、病院分院、産院、療養所、診療所、診察所、医院その他病院又は診療所に紛らわしい名称を附けてはならない。”
医療法第3条より引用
という規定があり、例えば〇〇駅前腰痛診察所といった屋号はつけられません。法律にもあるように、病院や診療所を連想させる屋号は法律で禁止されています。
使える表現に注意する
治療院を開業した後は集客するために広告や看板を作成することがほとんどです。
治療院の広告、看板を作成するにあたって、使えない表現があります。
例えば、良く治る、〇〇大卒などの施術効果や経歴が当てはまります。
屋号に用いると、広告の法律の広告規制に引っかかるため、これらの単語は使用できません。違反すると30万円以下の罰金が課せられます。
※柔道整復師法第24条の2、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律第7条の2
苗字をつかう時は店舗展開に注意する
治療院の屋号には「田中接骨院」のように経営者や責任者の苗字を使うこともできます。
苗字の屋号への使用は問題ありませんが、2店舗め、3店舗めと店舗展開するときに屋号の人物が店舗にいない場合が出てきます。
検索して患者さんが来院したのに、例でいうところの田中さんに施術してもらいたい場合、混乱を招きます。このため苗字を屋号にする場合は慎重に検討してください。
開設10日以内の制限に注意する
・開設届は10日以内に出す
・開設届に名称を記入する欄がある
・管轄の保健所に提出
治療院を開設すると10日以内に管轄の保健所に開設届を提出しなければなりません。
開設届には治療院の名称(屋号となる名称)を記載する欄があります。
このため、遅くとも治療院開設までには屋号を決めておく必要があります。
なお、個人事業主の開業届にも屋号を記載する欄があります。
治療院開業の手順
屋号を決める際には治療院の開業手順を確認するとより分かりやすいです。
屋号が関わるところを中心にまとめましたので参考にされてください。
開業する治療院を決める
治療院を開業するためには、まずどのような治療院にするかを決めます。代表的なのは、
- 接骨院
- 鍼灸院
- マッサージ院
の3種類で、それぞれ施術を行うのに必要な資格が異なります。
屋号をつける際は開業する治療院に基づいた名称にすると患者さんに覚えてもらいやすくなります。
必要な資格をとる
どの治療院にするかを決めたら、必要な有資格者を求人します。接骨院なら柔道整復師、鍼灸院なら鍼灸師、マッサージ店ならあん摩マッサージ指圧師です。
治療院の開設が決まっているため、自身の所有する資格を活かして開設するか、ターゲットを元に経営者の立場となり開設に必要な有資格者を求人します。
↓資格取得に関して詳しくはこちら↓
ターゲットを決める
ターゲットとは、どのような患者さんに来て欲しいかを検討することです。大まかに、
- 高齢者
- 仕事帰りのサラリーマン
- スポーツする学生
3つが挙げられます。
高齢者がターゲットだと近隣の医療機関と連携し、保険を使用した施術がメインになります。
仕事帰りのサラリーマンがターゲットだと自費の割合が増えるでしょう。
スポーツをする学生は、捻挫などの怪我へのサポート対応が求められます。
治療院の場所を決める
ターゲットが決まったら治療院を開業する場所を決めます。
この場所を元に屋号をつけるとスマホでの検索の手助けになります。
- 高齢者がターゲット→住宅街に開業→(具体的な地名)治療院
- 仕事帰りのサラリーマンがターゲット→オフィス街に開業→〇〇駅前治療院
- スポーツする学生がターゲット→学校近くに開業→〇〇通り治療院
上記は一例ですが、関連が深い名称、難しい地名はひらがなにすると集客効果が上がります。
設備を整える
治療院の開業にはテナントと設備も必要です。
屋号に関する記事なので、開業資金などの詳細は割愛します。
具体的には施術を行うためのベッド、待合室、患者さんの施術履歴を管理するパソコンなどが挙げられます。
必要な設備は大体決まっているため、開業までに準備しましょう。
集客方法を考える
治療院を開いても患者さんがこなけば成り立ちません。
このため、集客方法をあらかじめ考える必要があります。
例えば看板、チラシの作成、インターネット広告、SNSでの情報発信です。どの方法が良いかは、患者さんのターゲットにヒントがあります。
高齢者が中心ですと、チラシなどの紙媒体が好まれます。紙媒体は本人だけではなく、同居の家族にも周知できます。
インターネットやSNSはスマホを使用する幅広い世代にアプローチが可能です。開業する治療院の患者層を確認しましょう。
⇒集客に効果的なチラシの作成方法について詳しくはこちら
開業届を提出する
治療院の届出は大きく分けて2つあります。
管轄する税務署に提出する開業届と、保健所に提出する開設届です。
各届出には治療院の名称となる屋号を記載するところがありますので、上記を参考に患者さん目線でわかりやすい屋号をつけましょう。
⇒開業届について詳しくはこちら
わかりやすい屋号をつけて集客につなげよう!
治療院の屋号は患者さんにとってわかりやすい名称の方が集客効果が見込めます。
このため何をしてくれる所なのか、どこにあるのかを参考に名付けると良いです。
治療院開業の流れをチェックすると屋号をつけるヒントがみえます。
地名は時にはひらがなにするなど工夫するとより患者さんに伝わる屋号となるでしょう。
監修者プロフィール
- 大学卒業後、東京医療専門学校に進学。鍼灸マッサージ師、柔道整復師の国家資格を取得。整骨院や整形外科などの医療機関にて臨床現場を経験し、その後カナダ・トロントへ留学。現地治療院にて臨床を経験し、帰国後、麻布十番に治療院を開業。
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