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鍼灸整骨院

2023年10月19日

治療院(整体院・整骨院・鍼灸院)の開業までに必要な届け出と開業届について解説

ビジネスプラン

【本記事の監修者】
岩井 隆浩(麻布十番ループル治療院 創業者)
はり師/きゅう師/あん摩マッサージ指圧師/柔道整復師
齋木 拓 (麻布十番ループル治療院)
はり師/きゅう師/あん摩マッサージ指圧師/柔道整復師/日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー

開業の書類提出で困っていませんか?

この記事では簡単な提出方法をまとめていきます。

実際に開業で起こった実体験やエピソードも書いたのでリアルな情報をお届けします。

治療院(整骨院・鍼灸院・マッサージ院)の開業が決まったとき、忘れてはいけないのが手続きや届出の提出です。

施術所を開業するためには開業届以外にも複数の届出を期日までに行わなければいけません。

また、要件をクリアしなければ資格は持っていてもすぐに開業できないかもしれません。

そこで今回は施術所(治療院・整骨院・鍼灸院・マッサージ院)を開業するときの開業届をはじめとする手続きの流れや必要な書類を解説します。順を追って解説しているので、ぜひ開業をスムーズに進めるための参考にしてみてください。

忘れやすいポイントをまとめましたので、開設時に陥りやすいミスを未然に防ぎましょう

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治療院を開業するために必要な届出と手続きと流れ

施術所(治療院・整骨院・鍼灸院・マッサージ院)の開業手続きのおもな流れと、トラブルを避けるための対処法を紹介します。

開業手続きや届出の流れ

施術所を開業するとき、まずは「開業届」と考えるかもしれませんが、開業届はオープンしてからでも届出を行うことができるほか、その場で受理してもらえるので、まずはほかの手続きを行うのがおすすめです。

また、資格や業態によって必要な書類と届出が変わるので、こちらも注意が必要です。

開業のために必要なおもな手続きと順番は次のとおりです。

  1. 施術管理者要件の確認(事前準備)
  2. 開設届の提出(保健所)
  3. 受領委任を取り扱うための届出(厚生局)
  4. 開業届の提出(税務署)

 

監修者 岩井の体験談
これまで、5回ほど鍼灸接骨院の開設を行ってきました。14年前に開業した時は右も左もわからない状態でした。当時は鍼灸接骨院を開業するために、とあるレセコン会社と契約しました。開業しないとレセコンも使用できない為、このレセコン会社の担当者が開設届けを助けてくれました。保健所や厚生局との対応をスムーズに行ってくれたので、初めはこのような業者の方にサポートしてもらうのもアリかもしれません。2回目以降は自分から動いて開業届を提出しました。保健所には事前相談に行き、担当者とコミュニケーションを取っておくことが大切です。厚生局にも提出書類をあらかじめ確認しておいてもらうと届出がスムーズです。税務署の手続きは当日でもすぐに終わることが多いです。

*スケジュールの立て方は以下を参考にしてみてください。

トラブルが起きないように事前にスケジュールを立てましょう

施術所(治療院・整骨院・鍼灸院・マッサージ院)を開業するときは、物件の手続きや内装工事の依頼、備品の発注など、やることが山積みです。

しかし、開業届をはじめとする手続きを忘れてしまうと、予定どおりオープンできない可能性もあるため、事前にスケジュールを立てて計画的に進めていきましょう。

まず、オープンの日が決まったら逆算してスケジュールを立てます。

開設届の提出は「開設後10日以内」と決まっていますが、受領委任を取り扱うための届出には開設届の写しを提出する必要があるため、開設届はオープン前に余裕を持って提出しておくのがおすすめです。

 

監修者 岩井の体験談
開業時には思いがけない業務やトラブルが発生するものです。実際に開業を1、2ヶ月遅らせた友人も沢山います。必要なものが欲しい日程までに届かない、電話やインターネットの工事日が遅くて何も進まない、など沢山の不測の事態が起こります。その中で届出をしっかり行わなくてはいけません。届出を行う優先順位とスケジュールを立てておくと慌てなくてすみます。その届出に必要な情報をあらかじめ確認するようにしておきましょう。担当者と連携を取ることが極めて大切です。

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施術管理者要件の確認を忘れずに!

受領委任を取り扱うための届出を提出する際には、次の2つの書類が必要となります。

  • 実務経験期間証明書の写し
  • 施術管理者研修修了証の写し

施術管理者になるためには資格を取得した後に実務経験と2日間の施術管理者研修の受講が必要です。

万が一、施術管理者になるための要件を満たしていないとオープンのスケジュールが大幅に遅れてしまう可能性があるので、開業手続きを進める前にまずは施術管理者の要件を満たしているかを確認してください。

 

監修者 岩井の体験談
私が開業した当時はこの研修はまだ存在していませんでした。しかし、院を展開していく際にスタッフがこの研修を受ける事になりました。現在は開業するためにこの研修を修了しなくてはなりません。資格があっても、この研修を受講していないと業態によっては開業や受領委任を取り扱うことができません。また、この研修はいつでも開催されているものではなく、年間で日程が決まっています。定員数もあるため、開業を決めて未受講の場合はすぐに日程を確認しましょう。研修は2日間で、費用は20000円から23000円ほどかかります。

治療院の開設届の手続き

施術所(治療院・整骨院・鍼灸院・マッサージ院)を開業するためには、まず施術所を管轄する保健所に開設届を提出する必要があります。開設届は施術所として開設するために必要な届出のことで、法律によって開設後10日以内の提出が義務付けられています。

開設届提出に必要な書類や注意点は、以下を参考にしてみてください。

開設届に必要な書類

開設届に必要な書類はおもに次の6種類です。

  1. 施術所開設届
  2. 免許の原本と写し
  3. 施術所の平面図
  4. 最寄駅からの案内地図
  5. 法人の場合は定款(写し)と登記簿謄本
  6. 施術所が賃貸の場合は賃貸契約書の写し

開設届に必要な書類は保健所によって一部異なるケースがあります。

事前に管轄の保健所に確認し、抜けや漏れがないように気をつけてください。

また、開設届の写しは後に受領委任を取り扱うときの届出を行うときに必要となるので、提出書類は2部用意して、控えを必ず受け取りましょう。

 

監修者 岩井の体験談
開業時には、必ず立入検査があります。その時にも、保健所の担当者に院内の状況や平面図などで細かな説明が終わっていると、大きな問題がないかぎりは5分程度で終わることが多かったです。立入検査の当日にスムーズな対応をしてもらうためにも事前相談を確実に実施しておきましょう。基本的に法律やルールは全国的に統一されたものですが、細かな対応が各保健所や担当者によって微妙に異なります。

開設後10日以内に保健所に開設届を提出する

開設届は開設後10日以内に保健所に提出する必要がありますが、先述したとおり受領委任を取り扱う届出をするときに必要となるので、早めに提出するのがおすすめです

受領委任を取り扱う届出が受理されないと保険適用治療を行うことができないため、せっかく足を運んできたお客様にすべてのサービスを提供できない可能性があります。

受領委任を取り扱うための届出は保険の種類によって手続きに時間がかかることもあります。

開設届も書類に不備があれば届出ができないケースもあるため、スケジュールは余裕を持って組み立てておきましょう。

 

監修者 岩井の体験談
保健所からの届出が受理されたらそのまま厚生局も届出を済ませた方が無難です。書類が増えるので、いつでも免許証や必要書類がすぐに取り出せるように、まとめて管理しておくと便利です。実際には、開業時だけではなく、施術者が新たに加入した時にも書類提出は必要になるので、管理方法を統一しておくと紛失やミスなどが起こりにくいです。

開設届を提出するときの注意点

ポイント 注意点

開設届の手続きや必要書類は各保健所によって違う場合があります。

なかには開設届の提出前に建築や内装の図面確認を行ってもらう必要があるケースも存在します。また、書類の不備をはじめ、構造設備基準に不備があった場合も受け取ってもらえないので気をつけてください。

物件が決まった時点、またはオープンする地域が決まった時点で管轄の保健所に時期や間取りの相談をしておくとトラブルが起こりにくいでしょう。

 

監修者 岩井の体験談
私が開業届を提出した際にも、窓の換気が少々足りない部分がありました。その時に保健所の担当者に相談をして換気扇を取り付けるという約束で無事に受理をしてもらったことがあります。立入検査の当日に発覚した場合は、開業届を受理してもらえなかったかもしれません。担当者との信頼関係を築いておくことも重要な開業準備と言えます。

治療院の受領委任を取り扱うための届出

開設届の手続きが終わったら、各種保険請求を行うために受領委任を取り扱うための届出を地方厚生局に提出する必要があります。

しかし、気をつけなければいけないのが、取り扱う保険の種類によっては複数の届出が必要になる点です

受領委任を取り扱うための届出を含む、各種届出の内容は次のとおりです。

届出の種類 取得できる番号 届出先
受領委任を取り扱うための届出 契約記号番号 地方厚生局
共済組合への届出 共済連盟承諾番号 共済組合
防衛省への届出 防衛省番号 防衛省
労災保険指定医療機関への届出 労災の指定機関番号 都道府県労働局
生活保護法等指定施術機関への届出 福祉事務所

それぞれ提出する書類や届出先が違うので、しっかりスケジュールを組んで書類に不備がないように進めていきましょう。

受領委任を取り扱うための届出に必要な書類

受領委任を取り扱うための届出に必要な書類は次のとおりです。

  • 確約書
  • 柔道整復施術療養費の受領委任の取扱いに係る申し出
  • 柔道整復施術療養費の受領委任の取扱いに係る申し出(同意書)
  • 誓約書
  • 欠格事由非該当届出書
  • 実務経験期間証明書
  • ※施術管理者選任証明(開設者と施術管理者が違う場合に提出)

地域によっては必須書類が異なる可能性があるので、必ず管轄の地方厚生局に確認してから書類を作成してください。

扱う保険によってさまざまな届出が必要?

扱う保険の種類ごとに届出に必要な書類や届出先が違います

各種届出の内容や届出の方法は次のとおりです。

共済組合連盟への届出(共済連盟承諾番号の取得) 

国家公務員に関係する保険者である「共済組合連盟」の共済連盟承諾番号を取得するための届出です。

共済組合に連絡すると書式を受け取ることができるので、記入後に共済組合連盟に届出を行ってください。

届出を行うときには免許証のコピーを添付する必要があるので、事前に準備しておくのがおすすめです。

防衛省への届出(防衛省番号の取得)

自衛官に関係する保険者に請求を行うための防衛省番号を取得する届出です。

おもな必要書類は次のとおりです。

  • 申出書
  • 確約書
  • 柔道整復師免許証の写し

防衛省への届出は個別に受理しているわけではなく、1ヶ月分の届出を毎月20日を締め日(20日が休日の場合は前の平日が締め日)として取りまとめて処理しているため、早めに提出するのがおすすめです。

労働基準局への届出(労災の指定機関番号の取得) 

労災保険を取り扱うのに必要となる労災の指定期間番号を取得するため、労働基準局に行う届出です。

届出に必要な書類は柔道整復師の人数や経営の種類(個人か法人か)によって異なるので、所轄する労働基準局に確認が必要です。

書類の提出を行うと審査が行われ、約1ヶ月半で結果が通知されます。指定期間は2年間となっているものの、更新をしない申請を行わない限り自動的に更新されます。

生活保護法等指定施術機関への届出

生活保護を取り扱うために福祉事務所に行う届出です。生活保護法等指定施術機関への届出に必要な書類はおもに次のとおりです。

  • 指定助産機関・施術機関指定申請書
  • 誓約書(指定助産機関・施術機関指定関係)
  • 柔道整復師免許書の写し(該当する柔道整復師のもの)
  • 契約書2通(協定を締結している団体に所属していない場合)

事前に管轄の福祉事務所に確認し、ほかに必要な書類はないか、注意点などを聞いておくとスムーズに進められます。

受領委任を取り扱う届出を行うときの注意点

受領委任を取り扱う手続きや各種保険ごとの手続きは、手間も時間もかかります

自分のペースで着実に進めていきたい方は、しっかりとスケジュールやタスク管理を行いながら、時間に余裕を持って進めてみてください。

多数の届出を個人で行うのが難しい場合は、団体に加入すると手続きを代わりに行ってもらえるケースもあるようです。一度相談した後、検討してみるのも一つの方法と言えるでしょう。

治療院の開業届の手続き

開業届の手続きは開設届や受領委任を取り扱うための届出と比べて簡単で提出する書類も少ないので、開業後に時間を見て税務署に提出しにいくのがおすすめです。

ただし、開業届の提出は開業後1ヶ月以内と決められているので、ほかの手続きを余裕を持って終わらせておくとスムーズに進められます。

開業届に必要な書類や注意点は以下を参考にしてみてください。

開業届に必要な書類

開業届は「個人事業の開業・廃業等届出書」のことで、事業を開始した事実がある日から1ヶ月以内に税務署に書類を提出する必要があります。

開業届に必要な書類は次のとおりです。

  • 個人事業の開業・廃業等届出書(届出先:税務署)
  • 個人事業税の事業開始等申告書(届出先:都道府県税事務所)

個人事業税の事業開始等申告書の提出先や期限は都道府県によって違うため、各所に確認しておく必要があります。

東京都では事業の開始日から15日までが提出期限と決められています。

また上記の書類のほかに、青色申告で確定申告を行う場合は、「青色申告承認申請書」を提出しておく必要があります。

青色申告は白色申告よりも手間がかかる分、控除額が大きいため節税効果が高くなります。

開業前に白色と青色のどちらで申告するのか決めておくのがおすすめです。

 

監修者 岩井の体験談
こちらの届出はスムーズに受理をしてもらえた記憶があります。特に不備や書類の不足等がなければすぐに終えることができるでしょう。書類を取りまとめておくとミスが少なくなります。

開業届を提出するときの注意点

各種会計ソフトによっては、用意された項目に入力していくだけで開業届や青色申告承認申請書を作成できるものもあります。

クラウド会計ソフトはクレジットカードや銀行口座と連携すれば、難しいと言われる青色申告もスムーズに進められるので、検討してみてください。

また、取引や売上が大きくなることが見込まれる場合、会計士や税理士に相談したり、委託したりすると事業に集中できるでしょう。

まとめ

施術所(治療院・整骨院・鍼灸院・マッサージ院)を開業するときに必要な届出は開業届だけではありません。開設後に提出できる開設届も、受領委任を取り扱うための届出に必要となってくるので、開業関係の届出は余裕を持って行うのがおすすめです。

しかし、治療院のオープンはゴールではありません

集客や業務効率化をしっかり行い、安定した経営を目指していくのがおすすめです。

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監修者 岩井の体験談
開業は施術も必要ですが、院内の準備だけでなく、このような書類提出が本当に多いです。しかし、要件は決まっているので、早めに準備をしてスムーズに終えれば、あとは院内と施術に集中できるようになります。開業には避けて通れない部分ですので、あらかじめ何が必要か勤務時代から検討しておくと困ることが少ないです。少しでもこの記事が参考になれば幸いです。

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監修者プロフィール

岩井 隆浩
大学卒業後、東京医療専門学校に進学。鍼灸マッサージ師、柔道整復師の国家資格を取得。整骨院や整形外科などの医療機関にて臨床現場を経験し、その後カナダ・トロントへ留学。現地治療院にて臨床を経験し、帰国後、麻布十番に治療院を開業。