「自費メニューの導入したいが、どんなメニューを取り入れたらいいかわからない…」
このようにお悩みの経営者は多いです。近年では、自費メニューの検討をされる整骨院や接骨院が増加してきました。
その背景には、整骨院・接骨院を取り巻く環境が関係しています。
今回は、整骨院・接骨院の自費メニューの事例や導入のポイントなどを解説します。自費メニューの導入を検討している方や、自費メニューの展開方法などを知りたい方はぜひ参考にしてみてください。
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【監修者】
岩井 隆浩(麻布十番ループル治療院 創業者)
はり師/きゅう師/あん摩マッサージ指圧師/柔道整復師
齋木 拓 (麻布十番ループル治療院)
はり師/きゅう師/あん摩マッサージ指圧師/柔道整復師/日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー
整骨院や接骨院で自費メニューが必要になっている背景
整骨院や接骨院で自費メニューが必要になっている背景にはどんな理由があるのでしょうか。詳しく解説していきます。
整骨院・接骨院を取り巻く環境
整骨院や接骨院で自費メニューが増えている背景には、整骨院や接骨院を取り巻く環境の変化が関係しています。
特に変わった点としてあげられるのは、保険診療が厳しくなっている点にあり、整骨院・接骨院での保険診療請求額は年々減少しています。
また、保険の支払い元である健康保険組合が経営難になっていることも関連しているのです。現在まで、健康保険組合は吸収・合併を繰り返していますが、今後の存続は危ぶまれています。
厚生労働省の令和2年衛生行政報告例によると、令和2年時点で全国の接骨院の数は50,364院にまで増加しました。平成12年と比べると、20年間で2倍以上増加しているのです。
一方で、患者数は平成22年から減少しています。今後も患者数は減少の一途を辿るでしょう。
また療養費も同様に平成23年をピークとして、それ以後、減少傾向になっています。
参考:あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師・柔道整復師及び施術所数
整骨院の数が増える一方で、患者数が減少することにより、整骨院や接骨院業界はますます生き残りが厳しくなるでしょう。
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整骨院や接骨院で始められる自費メニュー
整骨院や接骨院で始められる自費メニューについてまとめました。自費メニューは、整骨院や接骨院を安定的に経営させる上で必要不可欠です。これから自費メニューを展開予定の整骨院・接骨院の関係者の方は参考にしてみてください。
鍼灸
鍼灸は整骨院や接骨院と相性が良く、取り入れやすい自費メニューの1つです。
代表的な鍼灸メニューとしては、以下が挙げられます。
- 美容鍼
- 電気鍼
- 円皮鍼
- 箱鍼
- 全身鍼灸
鍼灸は多くの整骨院や接骨院が取り入れているメニューです。
そのため、差別化を図る意味では、自院独自の特典やメリットを訴求する必要があるでしょう。
電気治療
自費メニューとして、電気治療を展開する方法もあります。電気治療機器などを導入する必要があり、コストがかかりますが、技術を要さず誰でも同じレベルで施術が可能です。
代表的な電気治療メニューとしては、以下が挙げられます。
- 超音波
- マイクロカレント
- 干渉波
- アキュスコープ
- ラジオ波
- ハイボルテージ
- EMS
電気治療は医療機関でも自費メニューとして採用されているため、自院で取り入れる際は差別化が必要になるでしょう。
マッサージ
マッサージも一定の需要があるため、自費メニューとしておすすめです。
しかし、現在はさまざまなマッサージ店が市場に存在します。価格メリットを訴求する店や技術力を訴求する店など、さまざまな切り口でマッサージを展開しているのです。他店と差別化するためにも、まずはマッサージする方のターゲットを決めましょう。
たとえば、仕事帰りの男性会社員やデスクワークが多いOLをターゲットにするなど、明確なペルソナを決めておくといいです。
また自費メニューとして取り入れる場合は、時間制にするといいでしょう。
時間制にすることで、他メニューとのバランスがとれ、幅広い患者にサービスを提供しやすくなります。長時間の施術の場合は、完全予約制にして、従業員のスケジュールを管理するといいでしょう。
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矯正
矯正メニューはさまざまな年代・性別問わず人気のある自費メニューです。
代表的な矯正メニューとしては以下が挙げられます。
- O脚矯正
- 小顔矯正
- 猫背矯正
- 骨盤矯正
- 全身矯正
矯正を自費メニューとして取り入れる場合はターゲットを明確に決めるといいです。
たとえば、産後の女性向けに骨盤矯正などの矯正メニューを取り入れるといいでしょう。産後、開いた骨盤を矯正し、開いた骨盤を改善させるメニューは一定の需要があります。
また他店と差別化させる意味で、産後の女性に対する心のケアも同時に行うと喜ばれるでしょう。産後ケアメニューを取り入れる際は、子どもが遊べるキッズスペースの設置が必要です。
また、施術中に子どもの面倒を見てもらえる環境を整えることが大事です。産後の女性が安心して施術を受けられる環境があれば、リピーターになる可能性が高まります。
運動療法
運動療法は、多くの整骨院・接骨院で取り入れられるメニューの1つです。
運動療法を行うことで、生活習慣病や心疾患、呼吸疾患などの改善が見込めます。
代表的な運動療法のメニューとしては、以下が挙げられます。
- 加圧トレーニング
- ストレッチボール
- ピラティス
- ヨガ
運動療法を取り入れる場合は、院内で適したスペースを確保し、運動療法に関する專門知識を身につけることが必要になるでしょう。
美容
女性を中心に人気が高く、新規患者獲得が見込める自費メニューとして美容メニューがあります。
耳つぼやキャビテーションといった施術を展開することで、美容効果を期待して来院する患者がいるのです。メインターゲットを女性に絞って展開する場合は、有効な自費メニューとなるでしょう。
整骨院や接骨院の自費メニューの展開方法
整骨院や接骨院で展開する自費メニューが決まったら、展開するための準備が必要です。
展開にあたって準備すべきことをまとめました。自費メニューの展開を検討している方は参考にしてみてください。
自費メニュー展開のための準備を整える
自費メニュー展開のために、次の準備を整えておきましょう。
設備投資
自費メニューによっては、電気治療機器などの機器が必要になります。
また、女性をターゲットにした自費メニューであれば、子ども向けのキッズスペースの設置も必要でしょう。
知識・スキルの習得
自費メニューによっては、施術者のスキルが問われるものがあります。
運動療法やマッサージ、矯正メニューなどは施術者の技術に応じ、患者が受ける効果が異なる場合があるのです。
また、正しく施術するためにも、施術知識が必要になるでしょう。知識・スキルの習得のためには、セミナーや著名な施術者の元で修行するといった方法があります。知識やスキルが身につけば、他院との差別化にもなり得るため、積極的に知識・スキル習得に注力しましょう。
自費メニューの料金を設定する
自費メニューが決まったら料金設定をしましょう。料金を設定する際は、次の点を基準に考えてみるといいです。
競合となる他院の料金を参考にする
自費メニューの料金を決める上で最も重要になるのが、競合となる他院の料金設定を調べることです。どんなに技術に優れ、差別化できているメニューだとしても、他院とかけ離れた料金であれば、集客効果は見込めません。少なくとも他院より大幅に高い料金設定にするのはリスクがあります。注意しておきましょう。
立地に合った料金設定にする
自院が田舎に位置するのか、都会に位置するのかで設定すべき料金は変わります。
一般的に、田舎であれば購買力の低い患者が多いでしょう。そのため、料金設定は低めにするのが無難です。一方で都会であれば、購買力の高い患者が多くなります。
そのため、高めの料金設定にすることで、利益確保につなげやすくなるのです。
固定費が回収可能な料金設定にする
家賃や人件費といった固定費を把握した上で料金設定を行うことが重要です。
たとえ患者に恵まれ繁盛したとしても、客単価が低ければ固定費が回収できません。固定費が回収できなければ、最悪の場合、閉院を余儀なくされるケースもあるのです。
料金設定する際は、施術圏調査を行い、自院のエリアでどのぐらいの患者数が見込まれるかを把握しておきましょう。来院する可能性のある患者数が把握できれば、月の売上見込みが立ち、固定費がどのぐらいで回収できるかが計算できます。
料金設定の際には、必ず事前に施術圏調査を行いましょう。
自費メニューを宣伝する
自費メニューが決まったら、患者向けの宣伝を行いましょう。
ホームページやブログ、SNSやチラシなどを活用して効果的な宣伝を行う必要があります。
口コミでの集客を狙うのも1つの手です。Googleビジネスプロフィールに登録すると、患者が口コミを登録できるようになります。良い口コミが増えれば、十分に集客効果が期待できるのです。また来院してくれた患者の再診率を上げるためにも、院内のパンフレットを配って自院の紹介をするといいでしょう。
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整骨院や接骨院の自費メニュー展開時の注意点
整骨院や接骨院で自費メニューを展開する際には注意すべき点があります。
自費メニューを展開する際は、次のことに注意しましょう。
少しずつ自費メニューを増やしていく
急に方向転換し、自費メニューを増やすと患者が他院へ移るリスクがあります。
なぜなら、患者が他院へ移る可能性があるからです。
患者によっては、保険適用されるメニューがあることを理由に施術を受けている方もいます。こういった患者にとって、自費メニューはデメリットになってしまう可能性が高いため、よほど信頼されている施術者が院内にいない限りは、患者は退院に移ってしまうかもしれません。
患者が減るのを防ぐためにも、患者の反応を見ながら自費メニューを取り入れていくといいでしょう。たとえば、土曜日の午前中だけ自費メニューを展開したり、自費メニュー施術担当を決めたりといった工夫を行うといいです。
患者の生の声は、院内の方向性を決める上で貴重な意見になり得るため、仲良くなった患者に自費メニューについて意見を聞いてみるのもいいでしょう。
患者のために施術計画を立てる
毎回の施術ごとに施術効果の評価を行い、施術計画を立てましょう。重要なことは、患者自身に施術効果を実感してもらうことです。
患者が施術効果を実感できていなければ、施術計画を立てても納得されず、再診率が下がってしまいます。一方で患者に施術効果を実感してもらえれば、前向きに施術に向き合ってもらいやすくなり、再診率が上がることがみこまれます。
リピーターを増やす
自費メニューは、保険診療に比べて単価が高いため、単価の高さから施術を断念する患者もいます。施術を継続してもらうためには、患者満足度を向上させ、リピーターになってもらう必要があるでしょう。
そのためには、適切なコミュニケーションを前提とし、患者に寄り添った施術を行う必要があります。
また絶えず自己研鑽を行い知識やスキルを高めていく必要があるでしょう。
確かな知識やスキルがなければ患者から信頼される施術者にはなれないからです。患者の症状に真摯に向き合い、改善のために全力を尽くすこと。
これができれば、単価の高い自費メニューであっても納得感を持って通い続けてくれるでしょう。
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自費メニュー展開にかかる費用の回収には時間がかかる
自費メニューによっては、施術機器導入や設備投資が必要となり、費用がかかる場合があります。また、スキルや知識習得のためにセミナーや研修費用がかかる場合もあるでしょう。メニューによっては、数百万以上のコストがかかる場合もあるため、長期的なスパンで自費メニューを展開し、回収していきましょう。
まとめ
今回は、整骨院・接骨院の自費メニューの事例や導入のポイントなどについて解説しました。整骨院・接骨院の取り巻く環境は日々変化しています。
従来、保険診療として認められていたメニューは審査が厳しくなり、保険請求が難しくなっている背景から、整骨院・接骨院は生き残りをかけて積極的に自費メニューの導入を検討し始めています。
自費メニューには運動療法や矯正、マッサージや電気治療などがありますが、施術機器が必要なものや、知識・スキルが求められるものがあるでしょう。
自費メニューを導入する際は、メニューに沿った知識やスキル、設備投資を行う必要があるため注意が必要です。適切な料金設定や広告宣伝方法を検討したうえで展開していきましょう。展開する際は、患者に配慮しながら自費メニューを増やしていくことも重要です。
リピーターを増やすためにも、絶えず自己研鑽を行い、知識やスキルを高めていきながら、患者に寄り添った施術を行っていきましょう。
監修者プロフィール
- 大学卒業後、東京医療専門学校に進学。鍼灸マッサージ師、柔道整復師の国家資格を取得。整骨院や整形外科などの医療機関にて臨床現場を経験し、その後カナダ・トロントへ留学。現地治療院にて臨床を経験し、帰国後、麻布十番に治療院を開業。
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