【監修者】
岩井 隆浩(麻布十番ループル治療院 創業者)
はり師/きゅう師/あん摩マッサージ指圧師/柔道整復師
齋木 拓 (麻布十番ループル治療院)
はり師/きゅう師/あん摩マッサージ指圧師/柔道整復師/日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー
電子カルテやweb予約システムなど、整骨院や整体院などの治療院が電子システムを導入するケースも増えたため、顧客管理の電子化を検討している方も多いでしょう。
しかし、「顧客管理システムは具体的に何ができる?」「顧客管理システムを電子化するメリットは?」と気になる点も多いのではないでしょうか。
本記事では治療院(整骨院・整体院)で顧客管理システムの導入が進む背景や、顧客管理システムを導入するメリットを紹介します。システムの機能や選び方も解説しているので、ぜひ参考にして業務の効率化を目指してみてください。
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目次
治療院(整骨院・整体院)向けの顧客管理システムとは
治療院(整骨院・整体院)向けの顧客管理システムは一般的なお店の顧客管理システムとは違い、電子カルテや売上管理、予約システムなど、治療院としての業務に特化した内容になっているのが特徴です。では治療院向けの顧客管理システムの種類や機能など、おもな特徴を解説します。
治療院(整骨院・整体院)向けの顧客管理システムは2種類ある
治療院(整骨院・整体院)向けの顧客管理システムは、大きくクラウド型とパッケージ型(オンプレミス型)の2種類に分かれます。
クラウド型 | パッケージ型
(オンプレミス型) |
|
利用方法 | インターネットにアクセスし、オンライン上でデータを管理する | 自院にサーバーを設置し、PCにパッケージをインストールして導入する |
サーバー | なし | あり |
初期費用 | 無料
(有料のシステムもあり) |
50万〜200万円程度 |
運営費用 | 月々の利用料 | メンテナンス料 |
導入までの期間 | 短い | 長い |
セキュリティ | 対策が必要 | 安全性が高い |
自社にサーバーを設置してパッケージをインストールして顧客データを登録・管理するパッケージ型(オンプレミス型)は安全性が高い反面、初期費用が高く、導入までに時間がかかるというデメリットがあります。
また、アップデートやトラブルがあった場合、技術者にメンテナンスを依頼する必要があるので、運営にも費用がかかります。
クラウド型の顧客管理システムはクラウド上に顧客データが保存されているため、どこからでもどのデバイスからでも簡単にアクセスできるのがメリットです。また、サーバーの設置やパッケージを購入する必要がないため、初期費用が安く抑えられるのもクラウド型の魅力です。
しかしクラウド型はサイバー攻撃や人的ミスによって顧客データが漏洩してしまう可能性がゼロではありません。クラウド型の顧客管理システムを導入するときは、万全なセキュリティ対策を施す必要があるでしょう。
治療院(整骨院・整体院)向けの顧客管理システムの機能
治療院(整骨院・整体院)向けの顧客管理システムのおもな機能は次のとおりです。
機能 | できること |
電子カルテの作成・管理 | 個人情報、利用履歴、画像、経過などのデータを入力して管理できる |
売上管理 | 全体の売上、顧客ごとの売上、メニューごとの売上、客単価などのデータを管理できる |
メールの送受信・管理 | 顧客へのメールの一斉送信、DM機能 |
予約管理 | 予約の受付、予約の変更、キャンセルなどの自動対応 |
リマインド機能 | 前日の予約リマインド機能 |
システムとの連携 | レセコン、会計ソフト、POSレジ、WEB問診票などの電子システムとの連携 |
ほかにも機能が充実しており、細かくカスタマイズできるシステムもあります。また、システムごとに連携できるシステムが違うため、既存の電子システムがある場合は連携可能か事前に確認しておいてください。
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治療院(整骨院・整体院)向けの顧客管理システムが重要視される背景
治療院(整骨院・整体院)向けの顧客管理システムの導入が急速に進んだ理由として、次の2つの要因が影響していると言われています。
ペーパーレス化が進んでいる
従来の治療院(整骨院・整体院)では紙のカルテに顧客の情報を記載して管理するのが主流でした。しかし紙のカルテは顧客のカルテを探すのに時間がかかるほか、顧客が増えるほどカルテを保管するスペースが必要となるなど、顧客管理の手間が大きいという課題がありました。
そこで顧客管理に適した電子カルテシステムなどを導入してペーパーレス化を図る治療院が増えたのです。
またSDGsが採択されたことにより環境保護意識が高まっていることや、セキュリティの強化が必須となっていることも、顧客管理システムの需要が高まった理由の一つです。
競合が増えたことで差別化が求められている
インターネットの普及によってホームページやSNSを最大限に活用して集客を行う治療院が増えました。利用者にとっては選択肢が増えている反面、競合が増加した治療院も少なくありません。
数ある治療院のなかで選んでもらう治療院になるためには、顧客のニーズを把握して満足度を高める取り組みを行う必要があります。
顧客管理システムは顧客の個人情報だけでなく、単価や施術内容、来院回数など、さまざまな項目をデータから分析して集客に活かすことができます。
顧客管理を円滑にするツールとしてだけでなく、集客のツールとしても顧客管理システムを導入する治療院が増えているのです。
治療院(整骨院・整体院)向けの顧客管理システムを導入するメリット
治療院(整骨院・整体院)向けの顧客管理システムは導入費用や運営費用がかかるものの、コスト以上に効果が期待できると言われています。顧客管理システムを導入するおもなメリットは次の3つです。
業務効率化につながる
紙のカルテから電子カルテに移行すれば、紙のカルテからシステムに打ち込む手間が減るほか、検索してすぐにカルテを呼び出せるので、スタッフの業務が大幅に効率化できます。また、常に最新の情報を共有できるため、情報伝達のミスを防止できるのも顧客管理システムのメリットです。
電子カルテと症状の経過を収めた画像なども一元管理できるので、施術を行う際も必要なデータがすぐに確認できます。
治療院の業務効率化について詳しくはこちら↓
顧客ごとのニーズがわかる
顧客管理システムはデフォルトの機能やシステムとの連携によって、顧客の診療データだけでなく、単価や利用頻度、利用するメニューや口コミなど、さまざまなデータを分析して集客や顧客満足度向上に活かすことができます。たとえば人気のメニューにあわせて運営の方向性を変更したり、人気メニューにオプションを追加して客単価アップを目指したりなどの施策を行うことも可能です。
常にデータをもとに効果検証のサイクルであるPDCAを回していくことで、長期的に安定した経営を目指せるでしょう。
人件費の削減につながる
顧客管理システムは、紙のカルテの業務で発生するデータ入力やカルテの検索、カルテ整理といった手間を減らすことができます。また、予約管理やWEB問診票を導入すれば、業務に負荷をかけやすい電話対応の手間も減らせます。
このように電子システムによって業務を減らせば、スタッフの勤務時間や人員の削減につながり、人件費を最小限に抑えることができるでしょう。
治療院(整骨院・整体院)向けの顧客管理システムを導入するデメリット
治療院(整骨院・整体院)向けの顧客管理システムは大きな効果が期待できる分、実際にシステムを導入するのに手間やコストがかかります。
次の3つのデメリットを把握した上で顧客管理システムの導入を検討してみてください。
導入費用や月々のコストがかかる
顧客管理システムは種類ごとに次のような費用がかかります。
- パッケージ型(オンプレミス型):導入費用、メンテナンス費用
- クラウド型:月額利用料
パッケージ型(オンプレミス型)は自院にサーバーを設置する必要があるため、導入費用がかさむ傾向があります。その反面、自由度が高く、管理できるデータの容量も自院で決められるのが魅力です。
クラウド型はすぐに導入できるほか、導入費用がほとんどかからないのが大きなメリットです。
しかし、機能やデータの容量、ユーザーの数によって月々の利用料が変わってくるので、顧客数が多い場合はパッケージ型(オンプレミス型)の料金と比較して検討してみてください。
マニュアルや研修が必要なケースもある
これまで紙のカルテを使用していた場合、マニュアルを作成したり、研修を実施したりなど、スタッフが顧客管理システムに慣れるための施策を行う必要があるかもしれません。とくにスタッフのITリテラシーが低い、または個人差が大きい場合、複数回にわけて研修を行わなければいけない可能性もあります。
スタッフが顧客管理システムを操作できないと、せっかく導入しても業務効率が下がってしまう可能性もあるので気をつけましょう。たくさんの機能を備えた顧客管理システムは魅力的ですが、スタッフの業務効率が落ちないよう、できるだけシンプルな操作性のシステムを選ぶのがおすすめです。
すぐに効果を感じられるわけではない
顧客管理システムは導入してすぐに効果が出るとは限りません。先述したようにスタッフが顧客管理システムの操作に慣れるまでは業務効率がなかなか上がらないほか、顧客のデータがある程度蓄積しないとニーズや口コミの分析を行うことができないためです。
そのため、数ヶ月〜数年かけて効果検証を行うのがおすすめです。ただし導入したシステムが自院に合っていないと継続して使用しても効果が実感できない可能性があるので、顧客管理システムは慎重に決定しましょう。
治療院(整骨院・整体院)向けの顧客管理システムの選び方
治療院(整骨院・整体院)向けの顧客管理システムを検討するときは、次の4つのポイントに気をつけて選ぶと失敗しにくいでしょう。業務を最大限に効率化するためにも、自院に合ったシステムを選ぶのが大切です。
費用対効果が期待できるか
まずは初期費用や月額コストが自社の予算に近いものを探しましょう。
予算を多少オーバーする程度であれば、予算の方を検討し直す方法もあります。予算を大幅に超えるソフトは継続的に利用するのが難しいため、無理をして予算を上げるのはやめておきましょう。
しかし、価格が高いから安いからという理由だけで選ぶのではなく、必ず費用対効果の高いシステムを選ぶのがコツです。価格が安くても使えなければ高い買い物になります。
価格が高くても治療院に適した機能があり効率化して売り上げも上がれば結果的に安い買い物になるかもしれません。常にバランスを意識すると良いです。
機能は多すぎず少なすぎないか
顧客管理システムの機能が多すぎるとスタッフがうまく使いこなせない可能性があります。
また、多機能の顧客管理システムは利用料が高くなるケースもあるので、自院に必要な機能を絞り込んで顧客管理システムを選ぶのがおすすめです。
とくに治療院(整骨院・整体院)が注目したい機能は次のとおりです。
- 電子カルテ
- 画像登録
- 予約管理
- WEB問診票
また、SNSや口コミに力を入れているなら、口コミ連携機能などを兼ね備えたシステムを選ぶのもおすすめです。最低限必要な機能をピックアップし、機能を持て余すことがないよう、自院に合った機能性のシステムを選んでみてください。
スタッフが操作しやすいか
予約管理や会計処理など、システムを使用することが多いスタッフが使いやすいシステムであるかどうかも、顧客管理システムを選ぶ上で大きな判断基準となります。目で見て操作方法がわかるような優れたUIのシステムなら、ITリテラシーが低いスタッフも直感的に操作できるでしょう。
クラウド型の顧客管理システムは無料のデモやトライアル期間を設けているものも多いので、試しに導入してみるのもおすすめです。
連携できるシステムはあるか
会計システムやレセコン、予約管理システムなど、自院ですでに導入しているシステムがある場合は、既存のシステムと連携できるかどうかをチェックしましょう。それぞれのシステムが連携できればデータを一元管理して顧客のニーズ分析に利用できます。
既存のシステムとの連携ができないと、それぞれのシステムにデータを二重に登録したり、過去のデータを入力し直したりなど、かえって業務効率が下がる可能性があるので注意してください。
顧客管理を紙から電子化するタイミングや判断基準とは
紙のカルテは顧客管理システムと比べて、コストがかからないというメリットがありますが、業務に遅れやムダが生じているケースも少なくありません。業務効率が落ちていると感じているなら、電子システムに移行するのがおすすめです。
また、電子システムの導入が一般的になりつつあるなか、web予約できるかどうかで治療院を選ぶ利用者も増えています。競合と差がつかないようにするためにも、電子システムの導入はできるだけ早い段階で行うのがベストと言えるでしょう。
開業時など顧客が少ないタイミングで電子化すると、作業の手間が少なくて済みます。
従業員の勤怠管理システムも導入すべき?
顧客管理と同様に勤怠管理も電子化すると、給与計算の手間が減らせるほか、計算ミスも防げます。また、スタッフはWEB上でタイムカードを利用したり、休暇申請したりできるため、スタッフの満足度アップも期待できるでしょう。
顧客管理とはまた別のシステムになるので、導入費用や月額料金は発生しますが、勤怠管理の電子化も一般的となっているため、顧客管理とあわせて電子化するのがおすすめです。
まとめ
ペーパーレス化や電子システムを導入する競合が増えたことにより、顧客管理システムの需要はますます高まっています。電子カルテやWEB問診票、予約管理、会計システムとの連携など、整骨院の業務を大幅に効率化できる機能が備わったシステムもたくさんあるので、予算や使いやすさなどをチェックして検討しましょう。
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監修者プロフィール
- 大学卒業後、東京医療専門学校に進学。鍼灸マッサージ師、柔道整復師の国家資格を取得。整骨院や整形外科などの医療機関にて臨床現場を経験し、その後カナダ・トロントへ留学。現地治療院にて臨床を経験し、帰国後、麻布十番に治療院を開業。
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