顧客管理を効率化するために顧客管理システムの導入を検討している方も多いでしょう。しかし「顧客管理システムは何ができる?」「顧客管理システムを導入するメリットやデメリットは?」と、本当に顧客管理システムが必要なのか十分に検討してから導入するのがおすすめです。
本記事では鍼灸院向けの顧客管理システムの特徴や、導入するメリットとデメリットを紹介します。また顧客管理システムを導入して成功した事例も紹介しているので、ぜひ参考にして自院の業務効率化を目指してみてください。
目次
鍼灸院向けの顧客管理システムとは
鍼灸院向けの顧客管理システムは一般的なお店の顧客管理システムとは違い、電子カルテや予約管理など、鍼灸院をはじめとした整骨院、接骨院、整体院といった治療院向けの機能が備わった電子システムを指します。
ここからは鍼灸院向けの顧客管理システムでは何ができるのか、またどんな機能があるのかを解説します。
顧客管理システムでできること
顧客管理システムは電子カルテや予約受付、問診票、顧客ごとの売上管理など、顧客管理に関わる機能が備わっているのが特徴です。また、システムによってレセコンや会計システムなど、ほかの電子システムと連携できるものも多く、鍼灸院の業務効率化に役立ちます。
顧客管理システムはおもに自院にサーバーを設置して顧客データを管理するパッケージ型(オンプレミス型)と、インターネット上にデータを保存し、さまざまなデバイスからアクセスできるクラウド型の2種類にわかれています。
顧客管理システムのおもな機能とは
鍼灸院向けの顧客管理システムのおもな機能は次のとおりです。
機能 | できること |
電子カルテの作成・管理 | 個人情報、利用履歴、画像、経過などのデータを入力して管理できる |
売上管理 | 全体の売上、顧客ごとの売上、メニューごとの売上、客単価などのデータを管理できる |
メールの送受信・管理 | 顧客へのメールの一斉送信、DM機能 |
予約管理 | 予約の受付、予約の変更、キャンセルなどの自動対応 |
リマインド機能 | 前日の予約リマインド機能 |
システムとの連携 | レセコン、会計ソフト、POSレジ、WEB問診票などの電子システムとの連携 |
ほかにも機能が充実しており、細かくカスタマイズできるシステムもあります。
また、システムごとに連携できるシステムが違うため、既存の電子システムがある場合は連携可能か事前に確認しておいてください。
顧客管理システムが重要視される背景
顧客管理システムが重要視されるようになった背景には、時代の変化が関係しています。とくに次の2つの要因が大きく影響しているでしょう。
ペーパーレス化が進んでいる
これまでの鍼灸院は紙のカルテや紙の問診票を使用し、顧客ごとにファイルを分けて保管するのが一般的でした。
しかし、紙で顧客管理を行うと顧客の情報を探す手間がかかるほか、事務スペースに保管しておくとセキュリティ面で問題が発生しやすいため、鍼灸院だけでなく企業や行政機関でもペーパーレス化が進んでいます。
ペーパーレス化の影響を受け、電子カルテやWEB問診票、電子予約システムなど、システムを電子化する鍼灸院も増えているのです。
電子システムを導入する鍼灸院が増えている
電子カルテは顧客に関するデータを一元管理できるほか、カルテを探す手間も省けるので、業務を大幅に効率化できます。電子システムで業務が効率化できれば、顧客にもスピーディーに対応できるため、顧客満足度の向上が見込めるでしょう。
そのため、電子システムを導入している鍼灸院と導入していない鍼灸院とでは、顧客満足度に大きな差が発生してしまうケースも少なくありません。競合との差別化やサービス向上のために電子予約システムや電子カルテ、WEB問診票などの電子システムを導入する鍼灸院が増えているのです。
顧客管理システムを導入するメリット
顧客管理システムは業務の効率化はもちろん、集客やコスト削減にも役立ちます。では、顧客管理システムを導入するメリットを具体的に解説します。
業務の効率化やミス防止につながる
紙のカルテとは違い、電子カルテは顧客のデータを検索してすぐに表示できるほか、画像や顧客との会話など、顧客に関するデータを一元管理できます。
また、紙のカルテからシステムに入力する手間が省けるのはもちろん、入力ミスや情報の伝達ミスなども防げるのも顧客管理システムを導入するメリットと言えるでしょう。
顧客データを分析できる
顧客管理システムはデフォルトの機能やシステムとの連携によって、顧客の診療データだけでなく、単価や利用頻度、利用するメニューや口コミなど、さまざまなデータを分析して集客や顧客満足度向上に活かすことができます。
たとえば人気のメニューにあわせて運営の方向性を変更したり、人気メニューにオプションを追加して客単価アップを目指したりなどの施策を行うことも可能です。
このように、常にデータをもとに効果検証のサイクルであるPDCAを回していくことで、長期的に安定した経営を目指せるでしょう。
人件費の削減につながる
顧客管理システムは、紙のカルテの業務で発生するデータ入力やカルテの検索、カルテ整理といった手間を減らすことができます。
また、予約管理やWEB問診票を導入すれば、業務に負荷をかけやすい電話対応の手間も減らせます。このように電子システムによって業務を減らせば、スタッフの勤務時間や人員の削減につながり、人件費を最小限に抑えることができるでしょう。
顧客の満足度アップにつながる
顧客管理システムは顧客のデータを管理するだけでなく、顧客とコミュニケーションを取るツールとしても活用できます。たとえば、キャンペーンメールの一斉送信や、DMを使ったクーポン配布など、顧客をリピーターとして定着させるための働きかけが可能です。
また、アプリが使える顧客管理システムは、顧客がアプリから予約を行ったり、問診票を入力したりなど、顧客が便利なツールとしても活用できるため、顧客の満足度アップにつながるでしょう。
顧客管理システムを導入するデメリット
顧客管理システムは利点が多い反面、デメリットも存在します。導入してから後悔することがないよう、顧客管理システムのデメリットも把握しておきましょう。
導入や運用には費用がかかる
顧客管理システムは導入費用をはじめ、種類によっては月額使用料が発生します。顧客管理システムのおもな種類であるパッケージ型(オンプレミス型)とクラウド型の導入、運用にかかるおもな費用とそれぞれの特徴は次のとおりです。
クラウド型 | パッケージ型
(オンプレミス型) |
|
利用方法 | インターネットにアクセスし、オンライン上でデータを管理する | 自院にサーバーを設置し、PCにパッケージをインストールして導入する |
サーバー | なし | あり |
初期費用 | 無料
(有料のシステムもあり) |
50万〜200万円程度 |
運営費用 | 月々の利用料 | メンテナンス料 |
導入までの期間 | 短い | 長い |
セキュリティ | 対策が必要 | 安全性が高い |
パッケージ型(オンプレミス型)は導入費用をはじめ、技術者にメンテナンスを依頼する必要があるため、メンテナンス費用もかかります。クラウド型は導入費用がほとんどかからないものの、アカウント数などによって月額料金が膨らむケースもあるので、事前に料金シミュレーションをしておきましょう。
使いにくいと業務効率が下がる
紙のカルテや問診票から顧客管理システムに切り替えると、業務フローに大幅な変更が生じる可能性があります。とくに機能が多すぎたり、操作手順がわかりにくかったりする顧客管理システムを導入してしまうと、かえって業務効率が下がる可能性があるので気をつけましょう。
また、使い方が複雑な顧客管理システムは、マニュアル作成や研修の実施など、システムに慣れるための施策が必要となるケースも少なくありません。システムの導入や運営以外の手間やコストがかかる可能性があるので、使いやすさを重視してシステムを選ぶのがおすすめです。
すぐに効果が実感できるとは限らない
顧客管理システムは導入してすぐに効果が出るとは限りません。スタッフが顧客管理システムの操作に慣れるまでは、かえって業務効率が下がってしまう可能性もあるということを認識しておきましょう。
また、システムの変更に慣れるまで時間がかかるのはスタッフだけではありません。顧客側としても使いやすさを実感できるまで、時間がかかる可能性があります。
そのため、顧客管理システムを導入するときは、長期的な視点で判断するようにしましょう。
顧客管理システムの選び方
顧客管理システムは予算や機能面で自院に合ったものを選ばないと、オーバースペックや予算オーバーになってしまう可能性があります。
では、どのような点に気をつけて顧客管理システムを選ぶべきなのか、チェックしておきたいポイントを4つ紹介します。
導入しやすいシステムを選ぶ
顧客管理システムはさまざまなメリットが期待できる反面、導入費用や運用コストがかかります。すぐに効果が実感できるとは限らないため、コスト面で無理のない範囲で導入できるシステムを選ぶようにしましょう。
とくに開業時は設備費や物件取得費など、さまざまな費用がかかるため、資金が不足しないよう、導入する電子システムは慎重に選びましょう。クラウド型の顧客管理システムは導入費用が無料のものも多いので、初期費用を抑えて電子システムを導入できます。
必要な機能をチェックする
顧客管理システムの機能が多すぎても少なすぎても、「使いにくい」という結果になりかねません。まずは自院に必要な機能や条件を決めて、基準を満たしている顧客管理システムを複数に絞り込むのがおすすめです。
たとえば、顧客の管理という最低限の機能のみを求めるなら、電子カルテの機能があれば十分でしょう。顧客に関するすべてのデータをシステムで一元管理したいなら、電子カルテをはじめ、予約管理、WEB問診票、会計システムや口コミとの連携機能など、業務のほとんどを電子化できるシステムがおすすめです。
既存のシステムとの連携も加味して、自院に合った顧客管理システムを選んでみてください。
直感的に使えるものを選ぶ
顧客管理システムを導入して業務フローに変更が生じると、スタッフが慣れるまでの移行期間を見越しておく必要があります。とはいえ、できるだけスムーズに業務フローの移行ができるよう、スタッフが直感的に操作できるシステムを選ぶのも一つの方法です。
目で見て操作方法がわかるような優れたUIのシステムなら、ITリテラシーが低いスタッフも使いやすいでしょう。クラウド型の顧客管理システムは無料のデモやトライアル期間を設けているものも多いので、試しに導入してみるのもおすすめです。
セキュリティやサポート面に力を入れているシステムを選ぶ
顧客管理システムは顧客の個人情報や診療データなど、顧客の重要なデータを管理するため、セキュリティが強固なシステムを選ぶのがおすすめです。とくにインターネット上でデータを管理するクラウド型の顧客管理システムは、自院にサーバーを設置するパッケージ型と比較してセキュリティが弱いという特徴があるため、セキュリティソフトを導入するなどの対策を行う必要があるでしょう。
また、サポート面に力を入れているシステムを選ぶと、トラブルが発生したときやシステムの運用について気になる点があったとき、すぐに相談できるため、業務に支障が出にくいでしょう。
顧客管理システムは鍼灸院専門のシステムがおすすめ
一般的な店舗とは違い、鍼灸院は電子カルテやレセコンとの連携など、保険適用治療に対応できる顧客管理システムが必要となるケースが多いです。そのため、顧客管理システムは鍼灸院専門のものを選ぶと業務がスムーズに進められるでしょう。
鍼灸・整骨・整体院専門の電子カルテシステム「リピクル」は、問診票や電子カルテ、レセコンの一元管理はもちろん、予約管理、顧客管理、分析、口コミ連携なども可能なクラウドサービスです。シンプルな使い勝手で直感的に操作できるほか、クラウドサービスなので訪問先や外出先からでも予約状況や電子カルテの確認が可能。
顧客管理の必要な機能に加え、データ分析に適した機能が備わっているので、業務効率化と集客を同時に目指したい方に最適です。
顧客管理システムの導入事例
顧客管理システムを実際に導入して、業務効率化や顧客満足度アップに成功している治療院はたくさんあります。今回は治療院に特化したクラウド型ツール「リピクル」の導入事例を3つ紹介します。
出先でも顧客の情報管理や予約管理が行えるように
Body tuners鍼灸接骨院では、往診や出張のたびに紙のカルテを持って移動することに手間を感じていました。紙のカルテを持ち運ぶことはセキュリティ面の不安が付きまとうだけでなく、すべてのカルテを持ち出すことはできないため、症状の経過や過去の施術内容が確認できないといったデメリットがあります。
しかし、「リピクル」はWEB上でカルテを確認できるため、タブレット1台を持ち運ぶことで顧客のすべてのデータを簡単に確認できるようになったそうです。また、カルテを電子化したことによって細かいことも記入できるようになり、より詳細なカルテの作成が可能になったという相乗効果も生まれています。
コミュニケーションを強化して顧客満足度アップ
W-wa鍼灸院ボディケアでは、開業当初から紙カルテを使っていました。施術中にカルテの内容を確認したり記入したりしたいと感じることがあっても、個人情報保護のために利用者から見えないスペースに移動して確認・記入を行うなど、不便さを感じることが多かったそうです。
「リピクル」で思いきって電子化したことにより、施術中もカルテの検索や確認、記録がスムーズに行えるようになりました。施術スペースごとに小型タッチスクリーン機器を設置し、ベッドサイドで前回の施術や経過を確認できるようになったため、患者様とのコミュニケーション強化に成功したそうです。
電子カルテの導入で業務を大幅に効率化
美容鍼サロン 麻布ハリークでは、開院当初から紙のカルテや問診票で顧客管理を行っていましたが、保管場所の確保や複数店舗でのカルテ、問診票共有ができないことに課題感を持っていました。また、顧客が増えることによって接客応対の効率が落ちてしまうという悩みも抱えていたそうです。
そこでクラウドサービスの「リピクル」を導入したところ、事前にWEBで入力してもらった問診票の内容を確認しながらカウンセリングを行えるようになったため、カウンセリングにかける時間の短縮に。施術時間がしっかり確保できるようになり、サービスの質が向上しました。
まとめ
ペーパーレス化や電子システムを導入する競合が増えたことにより、顧客管理システムの需要はますます高まっています。電子カルテやWEB問診票、予約管理、会計システムとの連携など、鍼灸院の業務を大幅に効率化できる機能が備わったシステムもたくさんあるので、予算や使いやすさなどをチェックして検討しましょう。
治療院向けのクラウドサービスである「リピクル」は無料のオンラインデモをお試しいただけます。ぜひ導入前に使いやすさや機能を体験してみてください。
監修者プロフィール
- 大学卒業後、東京医療専門学校に進学。鍼灸マッサージ師、柔道整復師の国家資格を取得。整骨院や整形外科などの医療機関にて臨床現場を経験し、その後カナダ・トロントへ留学。現地治療院にて臨床を経験し、帰国後、麻布十番に治療院を開業。
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