1人で経営する治療院(接骨院・整骨院・鍼灸院)に関心を持つ多くの方々が、「本当に稼げるのか?」「経営は成功するのか?」という疑問を抱いています。
確かに、1人で治療院を経営することで、自身の経営手腕によって大きな利益を得ることが可能ですが、経営にはコツが不可欠です。
今回は、1人で経営する治療院(接骨院・整骨院・鍼灸院)の現状や年収など、実際に稼げるかどうかについて解説します。さらに、1人治療院を成功させるためのコツや注意点についても紹介していますので、ぜひ参考にして、安定的な経営を目指してみてください。
目次
1人治療院(整骨院・接骨院・鍼灸院)の現状
2016年のデータによれば、マッサージ院、鍼灸院、整骨院、整体院などの治療院の数は、コンビニの店舗数の約2倍にも上ると言われています。現代では、1人1台のスマートフォンを持つことが一般的になり、スマートフォンの過剰使用によるストレートネックや肩こりなどの体の不調が問題視されています。
さらに、2020年に大流行した新型コロナウイルスや働き方改革の影響により、リモートワークが増加し、デスクワークの時間が増えたことで、体の不調や運動不足も社会的な課題となっています。このため、治療院の需要は増加していますが、その一方で店舗数も増加し、経営がうまくいかずに撤退する店舗も少なくありません。
日本の少子高齢化が進む中、治療院の需要は今後も高まると予想されます。しかし、競合との差別化が治療院の経営を成功に導く鍵となるでしょう。
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1人治療院(整骨院・接骨院・鍼灸院)の年収は低い?高い?
1人で経営する治療院の場合、売上から運営費を差し引いた金額が年収や月収として算出されます。たとえば、1人当たりの来院者の平均支払額が5,000円だった場合、1日に10人の来院者が施術を受けると、その日の売上は50,000円となります。これを1か月の営業日数である25日にかけると、月の売上は125万円になります。さまざまなパターンを考慮しておくと不安がなくなります。
この売上から運営費を差し引いた金額が、実際の収入となります。そのため、月収が必ずしも低いとは限りませんが、1日の予約に余裕があったり、営業日数が少なかったりすると、収入が減少してしまう可能性もあります。
実際に1人で治療院を経営する院長の年収は、300万円から1000万円以上まで幅広いです。経営者の実力や提供するサービスの質によって、月収や年収が大きく左右されることも事実です。
治療院(整骨院・接骨院・鍼灸院)の開業・経営にかかる費用
治療院(整骨院・接骨院・鍼灸院)を開業する際には、大まかに開業資金と運用資金が必要です。それぞれにどの程度の費用がかかるか、詳しく見ていきましょう。
治療院の開業にかかる費用は一般的に400〜500万円程度と言われています。ただし、開業方法によって初期費用は大きく異なります。例えば、物件を借りて開業する場合の物件費用は約100万円と言われています。
自宅での開業や居抜き物件など、既存の設備を利用する場合は、物件に関する初期コストが抑えられます。物件以外の初期コストは主に以下の通りです。
- 内装工事費用:約100万円
- 設備費:約100万円
- 備品・消耗品費:約20万円
- 広告宣伝費:約30万円
広告宣伝はSNSやGoogleビジネスプロフィールをメインにして、チラシやホームページ制作費を削減すると安く抑えることができます。
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1人治療院の経営にかかる費用
1人治療院の経営にかかる月々の費用はおよそ20〜50万円程度と言われており、内訳は次のとおりです。
- 賃料:10〜20万円
- 水道光熱費:約5万円
- 消耗品費:5〜10万円
- 宣伝広告費:役10万円
このほか、フランチャイズで開業している場合は、月々の売上から数%の支払いが発生します。
1人で治療院を経営するメリットとデメリット
スタッフを雇わずに1人で治療院を経営するのは自由度が高いため、理想を実現しやすいでしょう。しかし、その一方で1人で経営するデメリットも存在します。
メリットとデメリットの両面を理解し、検討してみてください。
1人治療院のメリット
1人で治療院を経営するメリットは次の3つです。
- 定年がないのでずっと働くことができる
- 売り上げが収入に直結する
- 利用者と一対一でコミュニケーションをとることができる
1人で治療院を経営する場合、サービス内容や運営方針、営業時間などを全て自らの判断で決定できます。雇用関係にないため、定年もなく、自分のペースで長期間働けるのが1人治療院の利点です。
さらに、人件費がかからないため、売上が増えれば直接自身の収入に反映されます。開業直後や売上が低い期間でも、人件費がかからないことで費用の負担が軽減されます。
利用者との一対一のコミュニケーションが取れるため、利用者のニーズを理解しやすく、「ありがとう」という感謝の言葉を直接受け取ることができるなど、多くのやりがいを感じる機会が1人治療院にはあります。
1人治療院のデメリット
1人で治療院を経営するデメリットは次の3つです。
- 競合に勝つための戦略が求められる
- 対応できる客数が限られる
- 体調不良や急用時に対応しにくい
接骨院や整骨院、鍼灸院などの店舗は、コンビニよりも数が多いと言われています。しかし、競合のないエリアでの出店は稀であり、競争が激しい状況下で生き残るためには戦略が必要です。
特に1人で経営する治療院の場合、大規模な競合相手との対抗は難しいため、独自の強みを示したり、効果的な集客手法を模索する必要があります。
また、1日に対応可能な来院者数には限界があるため、サービス内容や価格の見直しを継続的に行うことが売上拡大の鍵となります。
急な体調不良や予定変更が発生した際には、予約を断ることが避けられない場合もあります。そのため、顧客離れを防ぐためには割引やオプションサービスの提供など、様々な施策を考慮する必要があります。
1人治療院(整骨院・接骨院・鍼灸院)を成功させる秘訣
1人治療院(整骨院・接骨院・鍼灸院)は自由度が高い分、成功するか否かは自分の経営手腕にすべてかかっています。長く経営を安定させるために、次の6つのポイントを意識して取り組んでみてください。
集客に力を入れる
1人で治療院(整骨院・接骨院・鍼灸院)を経営する際には、1日に対応可能な来院者数に限界があるため、予約状況を最大限に活用することが重要です。予約が埋まっている状態を保つことで売上を最大化し、業務の効率化にもつながります。そのためには、集客が欠かせませんが、限られた時間での集客活動には効率的な方法を選択することがポイントです。
たとえば、SNSはチラシとは異なり、投稿が残るため、自院の情報やキャンペーン情報を発信することで、業務中でも集客の手助けとなります。また、口コミキャンペーンなどを実施し、拡散を促す仕組みを構築することで、効果的に集客を行うことができます。
リピーターを増やす
自院の経営を安定化させるためには、新規顧客を獲得するだけでなく、リピーターを獲得することが重要です。リピーターを増やすためには、再来院割引や季節ごとのキャンペーンなどを実施するのも一つの方法ですが、顧客がサービスや技術に満足していなければリピーターは増えません。
そのため、常に技術やスキルの向上に努め、顧客満足度を高めることが重要です。顧客満足度の向上は、客単価の向上にもつながります。
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施術単価を上げる
1人で治療院を経営する場合、対応できる来院者数には限界がありますので、施術単価を引き上げることが売上向上に繋がります。
ただし、メニューの単価を上げると顧客の不満が生じやすいため、オプションメニューや他の施術とのセットメニューを提案するなど、顧客のニーズに応じながら施術単価を引き上げる方法を検討してみてください。
競合との差別化
治療院が数多く存在する中で、長期的に安定した経営を維持するためには、競合に勝ち続ける必要があります。競合との差別化は、独自の技術やサービスの提供、コンセプトの明確化などが重要ですが、必ずしも独自性が求められるわけではありません。
例えば、以下のような取り組みも競合との差別化に寄与することがあります。
- 土日祝日に営業する
- 夜間も営業している
- 内装にこだわっている
- アクセスしやすい場所にある
- 24時間予約に対応している
サービスや設備に注力するだけでなく、他とは異なる特長を持つことも重要です。顧客のニーズに合致した独自のアプローチや、個性的なサービス提供などが、競合からの差別化に繋がります。
電子サービスを活用する
1人でできる業務には限界があります。
そのため、業務をできるだけ効率化するためには、電子サービスの活用を検討することがおすすめです。治療院の経営に役立つ主な電子サービスは以下の通りです。
- 電子カルテ
- WEB問診票
- 顧客管理システム
- WEB予約システム
- 会計システム
電子サービスは複数の機能が搭載されていたり、ほかのシステムと連携できたりなど、サービスによって特徴があるので、自院に合ったものを選んでみてください。鍼灸・整骨・整体院専門の電子カルテシステム「リピクル」は、問診票や電子カルテ、レセコンの一元管理はもちろん、予約管理、顧客管理、分析、口コミ連携なども可能なクラウドサービスです。
クラウド型なのでどこからでも端末を問わずにアクセスできるほか、お申し込みから最短1週間で利用開始できるので、ぜひ検討してみてください。
商品力を高める
個人の能力や時間には限界があります。そのため、業務量や対応できる顧客数を増やす代わりに、各商品やサービスの質を向上させ、顧客単価を引き上げることが重要です。
多岐にわたるサービスを提供するのではなく、自身が得意とする施術やサービスの品質向上に注力することで、顧客満足度の向上が期待できます。この取り組みは、治療院のイメージの確立やブランディングにも貢献します。
1人で治療院を経営するときの注意点
1人治療院の経営は自由度が高いものの、1人での経営ならではの失敗につながるケースも少なくありません。自分にすべての決定権があるからこそ、慎重に物事を判断する力が必要です。
セキュリティ対策に気を抜かない
1人で経営する治療院では、施術中に突然の来客に対応できないことがあります。このような場合には、完全予約制の導入や防犯カメラの複数台設置など、徹底したセキュリティ対策が重要です。
さらに、WEB予約システムの導入により、施術中の電話対応が不要となります。また、現金をできるだけ店舗に置かず、クレジットカードやキャッシュレス決済に対応することも有効な対策の一つです。
安さで勝負しない
集客のために割引や値下げを行うことは悪いことではありませんが、客足が増えても客単価が下がる傾向があるため、継続的な実施は避けた方が良いでしょう。割引を初回限定にしたり、短期間での実施に限定したりするなど、範囲や予算を設定してみるのも一案です。
高額であっても、サービスの質や効果を実感してもらえれば、リピーターが増える可能性があります。安価な価格で競合するだけではなく、独自の魅力を打ち出すことが重要です。そうすれば、顧客が長期的に利用してくれる可能性が高まります。
相談できる相手を作る
1人で治療院を経営する場合、全ての業務を一人でこなし、自ら判断を下さなければなりません。しかし、このような状況では考えが偏ったり、視野が狭まる可能性があるので、慎重に注意が必要です。
トラブルや判断に迷った場合には、相談できる相手を持つことが重要です。その相手がいれば、客観的な意見を得られるだけでなく、自らの考えを整理する助けとなります。また、新しいアイデアが生まれるかもしれません。同じような状況の仲間が見つからない場合は、セミナーやワークショップに参加することも有効です。
まとめ
1人で経営する治療院には、技術やスキルだけでなく、経営の知識も必要です。しかし、自身の能力によって売上を大幅に伸ばすことが可能であり、さらに人件費などのコストもかかりません。これが1人治療院の大きな魅力と言えます。
集客に力を注ぎ、利用者のニーズを的確に把握することで、安定した経営を実現してみてください。
監修者プロフィール
- 大学卒業後、東京医療専門学校に進学。鍼灸マッサージ師、柔道整復師の国家資格を取得。整骨院や整形外科などの医療機関にて臨床現場を経験し、その後カナダ・トロントへ留学。現地治療院にて臨床を経験し、帰国後、麻布十番に治療院を開業。
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