施術機器の選び方で悩むことはありませんか?
接骨院、整骨院、治療院を開業するにあたって、施術機器は何にしたら良いか、導入する時は購入するか、リースにするかなどで迷うこともあると思います。物理療法を行うための施術機器は、手技ではまかなえない部分を補うので院の強みになります。
しかし、多額の資金も必要になる場合が多いです。
また、せっかく良い物療機器を持っていても宝の持ち腐れになっている事があります。
この記事では、施術機器を選ぶポイントや機器の入手方法をわかりやすく解説します。
記事の後半では機器を使用する上での注意点や開業から機器選びまで、見ておきたいポイントを解説します。
最後まで読むと、自院にあった機器を選ぶコツが理解できます。ぜひ最後までご覧ください。
目次
接骨院・整骨院で施術機器を選ぶときに考えるポイント
まず考えるべき重要なポイントは、以下の2つです。
- 治療に必要な機器がなにかを考えて選ぶ
- 購入方法を決めてから必要な機器を選ぶ
接骨院(治療院)では、ターゲットに基づく施術内容から治療機器を選ぶ方法と、機器に割ける予算や資金から購入機器を探す方法があります。
また、保険治療だけではなく、自由診療をする接骨院も増えてきています。
このため、自由診療も視野に入れて施術機器を選ぶと営業の幅が広がります。
接骨院で使う主な施術機器とは?
いきなり導入する機器を決めてしまっていませんか?近年は、物療機器もどんどん進化しています。より幅広い選択肢を持ちましょう。
- どんな機器が存在しているのか?
- またその効果はどんなものか?
治療院で使う施術機器は電気治療機器、湿性温熱療法機器やリラクゼーション機器があります。どの機器においても必ず特徴があります。
なぜその機器を導入するのか?明確にしたうえで機器を選択することが重要です。
電気治療機器
電気治療は、施術部位に電気を流す治療です。人間の細胞にはプラスとマイナスがあり、外から電気を加え、反応させることで痛みやこりを緩和させます。接骨院で使用するのは、主に低周波医療機器と超音波医療機器の2つです。特徴を簡単にまとめると以下の通りです。
- 低周波医療機器:筋肉に低周波がとどき、緊張緩和や血行を良くする効果が期待できる
- 超音波医療機器:関節まで超音波がとどき、加温することで筋肉との癒着を緩和させる効果が期待できる
2つの治療機器の特徴を理解し、開業時に必要な機器を揃えると良いです。
温熱療法機器
温熱療法機器は、患部を温めて血行を促進する機器です。
また、温熱療法には、乾熱式、湿熱式、転換熱などの種類が存在します。乾式(乾熱式)は、水を使用しないで温める機器です。
- 赤外線:赤外線の作用を利用することで患部を温めます。すぐに温かく感じてもらえるのが特徴
- ホットパック:電気によって温められたクッションを当てることで患部を温める
管理が楽で衛生的だと考えられます。湿式(湿熱式)は、水や液体を使用して患部を温める機器です。接骨院では主に3つの機器が使用されています。
- ホットパック:種類はいろいろありますが、厚手の木綿袋にシリカゲルを入れ、温浴装置で温める。加温後にタオルで包み、患部に当てて使用
- パラフィン浴:温めたパラフィンに患部をつけ、パラフィンが患部を覆う事で患部を温める
- 加流浴:温水をはった浴槽に患部をつけ、加流を当てて血流を改善
機器の共通点は温浴です。適度な湿度があることでよりリラックス効果を期待できます。衛生管理が重要となります。施術にもよりますが、湿性温熱療法を検討する場合は温浴機器を調べてみましょう。
転換熱は、マイクロ波や超音波を利用して深部を温めます。
- 極超短波治療器:マイクロ波を利用して患部における深部を温める機器
- 超音波治療器:炎症や痛みの治療に使用されます。周波数を調整することで幅広いアプローチが可能
リラクゼーション機器
リラクゼーション機器は施術を補助する機器で、代表的なものは3種類あります。
- ウォーターベッド:水圧を利用して首から足首までを揉みほぐし、浮遊感があり、リラックス効果が期待できる
- ローラーベッド:ベッドの中にローラーが入っており、首から足首までの揉みほぐしを補助する
- メドマー:空気圧を利用して、むくみや冷えを改善する
リラクゼーション機器があると患者さんから喜ばれますが、電気治療機器や湿性温熱療法機器よりも優先順位は下がります。こちらも施術方針上、必要性があれば導入を検討しましょう。
施術機器の入手方法
施術機器の入手方法には、新品・中古・リース・ローンの4種類があります。それぞれメリット、デメリットがありますので、順に解説します。
新品
施術機器の新品は、初期費用はかかりますが、自由に売却できるメリットがあります。新品で購入を検討するのは、費用対効果が見込まれる時や、最新の機器を導入する時です。
施術機器の別の入手方法である、リースやローンと比べて最終的な支出は少なくなります。一方、購入してしまうと、減価償却しなければならないため、手間が発生します。
中古
中古の施術機器は、手頃な値段で購入できるメリットがあります。ロングセラー機器などの定番商品を文字通り中古で手に入れることが可能です。注意点としては、メンテナンスに別途お金がかかること、機器の保証が切れている可能性が高いことが挙げられます。
また、探している機器が欲しい時に手に入るとは限らないため、ある程度時間をかけて探す必要があります。安価で機器が手に入るため、施術機器を手に入れる方法としてポピュラーです。
リース
施術機器には、リースもあります。リースの利点は、期間が終わると機器導入の見直しができる点です。一方、リース期間が長くなるとリース代と金利の関係で、購入するよりも支払いが多くなる可能性があります。なお、リース代は全額経費として、処理が可能です。
また、リースを申し込む際に、与信審査があります。
ローン
ローンを組むことで施術機器を入手することも可能です。ローンを組むと分割支払いになるため、支払い1回あたりの、費用負担が軽くなります。ローンで購入しているため、完済後、施術機器は治療院の所有になります。このため、最終的には、売却することも可能です。
その他に必要な備品
これまで、施術機器について説明しました。治療院で必要な物は機器に限りません。ここからはその他に必要な備品を見ていきます。
施術用のベッド
施術用のベッドはほとんどの治療院にとって必需品です。患者さんの寝心地と施術者の負担を考えて選びましょう。ベッドによっては、注文後、納品までに時間がかかる場合があるため、最初に納品までの時間を業者に確認しましょう。
患者さん用の備品
治療院には患者さん用の備品も必要です。例えば、施術時の着替えやスリッパが該当します。消耗品では、診察券や消毒用アルコールが挙げられます。
また、鍼灸院ではお灸や針なども該当します。特に消耗品は繰り返し注文します。新しく開業した治療院でも、以前に使用していたものがあれば、そちらを開業した治療院でも使用すると失敗しにくいです。
治療院の備品
治療院の備品は初回に揃える物もあります。治療院は施術をするスペースだけではなく、玄関や待合室もあるため、こちらで使用する備品も揃えなくてはなりません。
例えば、待合室では、椅子やテレビが備品として挙げられます。治療院内で洗濯をするには洗濯機も必要です。これらは開業時に揃えておきたい物です。費用を削減する部分と、費用をかけても便利なものを仕分けしましょう。
消耗品以外の備品は開業時に1度だけ購入するものがほとんどですので、リストアップすると抜け漏れがなくなります。
開業時に必要な備品・消耗品について解説!詳しくはこちら↓
接骨院で施術機器を使う時の注意点
接骨院で施術機器を使う時の注意点は、各医療機器の注意点を把握してから使用することはもちろんですが、患者の様子を見ながら使うことです。どちらも、患者さんと治療院を守る上で必要ですので順番に解説します。
各医療機器の注意点を把握する
施術に使用する医療機器には注意点もあります。例えば、低周波医療機器は、同じ場所に30分以上当てると火傷のリスクが高まります。超音波医療機器は、患者さんがペースメーカーを使用していると、電気信号がペースメーカーの正常な動作を妨げるため禁忌です。
医療機器の注意点は取り扱い説明書を読めば把握できるものと、患者さんへの問診が必要なものがあるため、状況をよく理解してから使用することが大切です。
患者の様子を見ながら使う
施術機器は患者さんの様子を見ながら使用することが大切です。取り扱い説明書に沿って使用しても、患者さんごとに体感が異なることが予想されます。体感が異なる具体例は、温浴を用いた施術です。このため、実際に使用する際は、体感と施術効果の両方からアプローチすることが大切です。
開業から施術機器選びまでの流れ
開業から逆算した機器選びまでの流れは、以下の通りです。
- 広告宣伝・開業
- スタッフの採用・教育
- 療養費の請求方法やオペレーションを考える
- 開業届・手続き
- 医療機器の選定
- 施術所の設計
- 資金計画を立てる
- 事業計画を立てる
- 施術管理者の要件をチェックする
医療機器(施術機器)の選定は中間のステップであり、特に重要なのは、施術所の設計です。ポイントをそれぞれ解説します。
設計内装工事でチェックするポイント
設計内装工事でのチェックポイントは、です。施術機器を置く場所やコンセントの位置を確認することです。大型の施術機器は、採寸表示があるものがほとんどで、導入予定のものがあれば、大きさを測ってから工事を依頼することもできます。内装が決まったら、電気総容量も一緒に確認しましょう。
医療機器は開業届を出すまでに選定
医療機器は開業届を出すまでに選定します。医療機器は発注から納品までに時間がかかるからです。使用予定の機器は早めに納品までの時間をメーカーに確認すると、開業から逆算して注文ができるため安心です。
開業届について詳しくはこちら↓
ポイントを知って治療院に必要な機器をそろえよう
施術機器を選ぶ時に考えるポイントは、施術上の必要性や、導入方法から検討するやり方があります。その機械はなんのために必要か?施術にどう活かされるか?またどのように購入するか?
しっかりとイメージを持って購入すると良いでしょう。治療院では、保険治療だけではなく自由診療をするためにも施術機器選びが大切です。開業までの流れをチェックして、治療院に必要な機器をそろえましょう。
監修者プロフィール
- 大学卒業後、東京医療専門学校に進学。鍼灸マッサージ師、柔道整復師の国家資格を取得。整骨院や整形外科などの医療機関にて臨床現場を経験し、その後カナダ・トロントへ留学。現地治療院にて臨床を経験し、帰国後、麻布十番に治療院を開業。
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