店舗を開店・開業するときには、コンセプトが大切だとよく言われます。コンセプトとは具体的にどういったものなのでしょう。また、エステサロンを開業する場合にはどういったコンセプトが重要になるのでしょう。エステサロン経営におけるコンセプトについて、詳しくご説明します。
コンセプトって何のこと?コンセプトが必要といわれる理由とは?
コンセプトとは、概念、全体に影響する基本的な観点や考え方のことです。ビジネスにおいては、その事業の方向性を指し示すものであり、また事業を行う上での目的、目標を明らかにし、経営の中心となすべきものです。
新たに開業する場合、内装の打合せなどで「優しい色合いで温かな雰囲気」や「都会的でスタイリッシュに」などと指定しますが、インテリアの雰囲気を指定することが店舗のコンセプトではありません。なぜそういう雰囲気にしたいと考えたのか、その理由はなにかなど基本となる考え方をコンセプトといいます。
開業する際には、客に満足してもらいたい、リピーターを増やしたい、独自の施術を広めたいなど、さまざまな思いや考えがあると思います。その思いや考え方を明確化し、どのようなエステサロンにしたいのコンセプトをはっきりさせておきましょう。
コンセプトを決めておかなければ、何かを選択するときや発展させる時にブレが生じ、方向性も定まらず経営が迷走することになりかねません。
コンセプトはどうやって決めればいい?
では実際のコンセプトはどうやって決めればいいのでしょうか。
まず、エステサロンをオープンするにあたり、大切にしたいと思っていることを理念としてあげます。社会に対しどのような価値があるのか、どのように貢献するのか、自身のエステサロンの強みとはなにかをまとめましょう。
次に目標を設定します。今はまだできなくても、収入や設備、技術について1年後、5年後の目標を具体的に設定することで経営上の指針とすることができます。
エステサロンは集客し、施術を行うことで収益を得る事業です。
どのような客層にきてもらいたいのか、ターゲットとするべきペルソナ(人物像)を明確しておくことも大切です。
たとえば「郊外の住宅地に住む30代~40代の女性、昼間に自由時間がある」や「20代~30代のビジネスパーソン、自由時間は終業後と土日」などです。
具体的に思い描くことで、エステサロンの立地条件や、施術料金の設定、営業時間などを考えることができ、ペルソナを対象にした効果的な情報を発信することができます。
また、実際にエステサロンをオープンしたあとで大切になるのが、スタッフの行動指針です。
自分ひとりで開業する場合も、スタッフを雇用する場合も、仕事に取り組む姿勢や心構えを明確にしておきましょう。
このことは従業員教育に役立つだけでなく、サロンのスタッフすべてが同じ認識を持ち、同じコンセプトの元で仕事をするという一体感を生み出します。
コンセプトを伝えるために大事なこととは?
コンセプトが完成したら、そのコンセプトを具体的に伝えることが大切です。
エステサロンへの来客にはどのようにして伝えればいいでしょうか。方法としてコンセプトを待合室やロビーなどに掲げることがあげられます。経営者の思いや客に対する思いを掲げることで、サロンのコンセプトを知ってもらうことができます。
また施術するスタッフから伝えるということもできます。
間接的な伝え方としては、ホームページやSNSを使って、サロンの特徴や目指すところを発信するのも有効です。
一緒に働くスタッフにコンセプトを理解してもらうには、どうすれば良いのでしょうか。
全員がコンセプトを共有するには、スタッフミーティングの席で内容を確認するのがよいでしょう。また、スタッフルームなどにコンセプトを掲げておくことも、認知度アップに役立ちます。
スタッフがバラバラの思いで施術していては、エステサロンとして統一感やレベルを維持することができません。全員で同じ方向を目指して働けるよう、スタッフへのコンセプト周知は時間をかけて丁寧に行うようにしましょう。
どのような企業でもコンセプト作りは大切です。またコンセプトを常に確認することで、質の向上を目指すことができ、経営を安定させることができます。
時代の変化にともない、時にはコンセプトの見直しが必要になることもあるかもしれません。しかしその場合でも、コンセプトがあったから見直しができたともいえます。基本となる足元を固めるためにも、ぜひコンセプトを作り、活用することをお勧めします。