鍼灸院や整体院の開業を考えたとき、印象を左右する大切な要素となるのが「内装」です。
しかし「デザインや間取りはどうすればいい?」「内装のコストはどのくらいかかる?」と疑問を抱えている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、治療院(鍼灸院・整骨院・接骨院・整体院)の内装デザインのコツや事例、注意点などを解説します。
また内装にかかる費用や、コストを安く抑えるポイントもあわせて紹介しているので、ぜひ参考にしてイメージアップが目指せる内装を作っていきましょう。
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目次
おしゃれで心地いい治療院の内装デザインのコツ
内装デザインはサービス内容やコンセプトに合ったものにするのがおすすめです。
しかし、奇抜なデザインや治療院とかけ離れたデザインの内装は「居心地が悪い」というイメージを持たれかねません。
居心地がよくおしゃれな内装デザインを目指すなら、次の4つのポイントに気をつけてみてください。
病院のようなデザインは避ける
病院のような内装デザインを採用すると、堅苦しい印象を与えてしまう可能性があるので気をつけましょう。
鍼灸院は清潔感がとても大切です。
しかし、清潔感を重視するあまり病院のような内装にしてしまうと、「怖い」「緊張する」と感じる方もいます。
たとえば白を貴重としたベーシックな内装デザインや、白っぽい照明、暗めの空間などは、病院をイメージする可能性が高いでしょう。
鍼灸院に訪れる方は、疲労回復や非日常感を求めている場合がほとんどです。
インテリアに観葉植物を取り入れたり、内装デザインに木の温もりを取り入れたりすると、清潔感を保ちつつもリラックスしやすい空間を作れるでしょう。
開放感のある間取り・レイアウトにする
内装デザインを決めるときは、施術を受ける方が圧迫感を感じないような間取りやレイアウトにしましょう。
狭い物件で開院する場合は空間を広くとるのが難しいかもしれません。
しかし、「壁をできるだけ少なくする」「空間に物を置きすぎない」などの工夫をするだけでも、院内の印象は大きく変わります。
また、備品やインテリアは背が高いものほど圧迫感を感じやすいと言われています。
施術台や器具、待合室内のインテリアはできるだけ背が低いものを選ぶと、狭い空間でも開放感を演出しやすいでしょう。
色合いで安心感を作る
おしゃれで安心感のある内装デザインにするなら、配色にこだわりましょう。
人が色に対して持つ印象は「色彩心理学」と呼ばれ、内装や広告のデザインに多く取り入れられています。
「色彩心理学」で人がイメージしやすい色別の印象は次のとおりです。
-
- 白:純粋・潔白・神聖・清潔・神秘・薄情・孤独・儚い
- グレー:上品・安定・調和・スマート・控えめ・憂鬱・過去・曖昧
- 黒:上品・高級・自信・重厚・威厳・恐怖・絶望・沈黙
- 緑:自然・平和・調和・癒し・安寧・未熟・平凡・一般
- 赤:愛・情熱・太陽・生命・恋・危険・怒り・戦闘
- 紫:高貴・ミステリアス・神秘・優雅・宇宙・不安・嫉妬・欲望
- オレンジ:家庭・温もり・元気・社交的・陽気・大衆的・自惚れ
- 黄色:活発・天真爛漫・無邪気・幸福・軽快・危険・注意・幼稚
- 青:冷静・誠実・知的・開放感・静寂・冷淡・悲哀・保守
清潔感を保ちつつおしゃれな内装デザインにするには、白やグレーを基調とするのがおすすめです。
安心感をプラスするなら緑、親近感をプラスするならオレンジなど、鍼灸院のサービスやコンセプトに合わせて選ぶのがおすすめ。
使うカラーは2〜3色に抑えると統一感や高級感を演出しやすいです。
反対に色を使いすぎると「リラックスできない」「安っぽい」など、マイナスイメージに繋がりやすいので気をつけてください。
照明やインテリアでリラックスできる空間に
照明やインテリアは院内の印象に大きな影響を与えます。
たとえば、照明は暗すぎると怖いイメージにつながりますが、明るすぎると眩しくて施術中にリラックスできない可能性があります。
待合室はある程度の明るさを確保し、施術室は温かみのある暗めの照明を採用するなどの工夫をしてみてください。
デザイン性の高い間接照明を採用すると、おしゃれで落ち着きのある内装デザインになるでしょう。
また、おしゃれな空間を演出するなら、インテリアへのこだわりも重要です。
ターゲットやコンセプトに合ったインテリアを選び、「居心地がいい」と感じてもらうことはリピーターの獲得にもつながります。
たとえば20代〜30代女性をターゲットにする場合、次のようなイメージのインテリアがおすすめです。
-
- ラグジュアリーな空間:淡いピンクやパープルを基調にゴールドをプラスしたインテリア
- ナチュラルで清潔感のある空間:白の木目調のインテリアに観葉植物をプラスする
また、待合室にターゲットに合った雑誌や本を用意する、施術後にメイクや髪を直すスペースを設けるなど、細かい部分まで気遣いが行き届いていると、満足度が高まるでしょう。
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治療院の開業や内装にかかる費用
治療院の開業にかかる費用は内装費だけではありません。
開業に必要な資金を踏まえたうえで、内装にかかる費用を決定していきましょう。
治療院の開業にかかる費用
治療院の開業は開業形態や物件によって費用が大きく変わります。
鍼灸院を開業する場合、およそ500〜600万円程度かかるケースもあります。
開業に必要な費用のおおまかな内訳は次のとおりです。
-
- 物件取得費 約100万円
- 内装工事費 約200万円
- 備品準備費 約150万円
- 広告宣伝費 約50万円
- 消耗品費 約50万円
以上の費用のほか、営業するためには人件費や光熱費などの運営費もかかります。
毎月かかる経費と見込まれる売上をあらかじめ概算を出したうえで、内装にかけられる予算を決定するのも一つの方法です。
もっと詳しく開業相場について知りたい方はこちら
⇒接骨院・整骨院の開業資金の相場はいくら?融資や安く抑えるポイントを解説
治療院の内装にかかる費用
治療院の内装工事は200万円ほどかかるのが一般的で、坪単価15万円くらいが相場です。
デザイン性が高くなるほど費用も上がり、グレードが高い内装デザインは1坪あたり50万円以上になるケースもあります。
物件を契約して改装する場合、物件の基本設備によって内装工事にかかる費用が大きく変わります。
たとえばエアコン設備がある物件だと、内装工事費が100万円ほど減るケースもあるので、できるだけ初期費用を抑えたい方は基本設備が充実した物件を選ぶのも一つの方法です。
治療院の設備構造基準とは?
治療院を開業するときは、店舗の所在地を管轄する保健所が定めている構造設備基準に沿って内装デザインを検討する必要があります。
各保健所によって設備構造基準が違うため、該当する保健所に問い合わせてみてください。
設備構造基準の例として次のような項目が挙げられます。
-
- 6.6平方メートル以上の専用の施術室があること
- 3.3平方メートル以上の待合室があること
- 施術室と待合室は壁やパーテーションで完全に区切られていること
- 採光、照明及び換気が充分になされていること
- 手指の消毒設備を設けること
- 消防防火措置が取られていること
設備構造基準を満たしていないと開業許可がおりないので、内装デザインを検討する前にきちんと確認しましょう。
治療院の内装費用を安く抑えるコツ
治療院の内装デザインはお金をかけたからと言って、必ずしも集客に良い影響を及ぼすとは限りません。
反対に初期費用にお金をかけすぎると、経営にマイナスな影響を与えかねないので、内装費用はできるだけ安く抑えるのがおすすめです。
今回は治療院の内装費用を抑えるコツを3つ紹介します。
複数の業者に相見積もりを取る
治療院の内装を依頼する業者を選ぶときは、一社ではなく複数の業者に見積もりを依頼する「相見積もり」を行うのがおすすめです。
というのも、同じデザインでも業者によって費用に大きな差が出る可能性があるからです。
複数の業者に見積もりを依頼すれば、工事費用の適正価格が分かるので、相場よりも高い金額で工事を依頼する心配が減らせます。
また、「ほかの業者にも見積もりを依頼している」と申告しておくことで、複数業者で競争が生まれ、工事費用を下げられる可能性があります。
内装工事を依頼するときは、最低でも2社〜3社に見積もりを依頼し、技術やサービスを踏まえたうえでコストパフォーマンスが高い業者を選びましょう。
施工だけを行う業者に依頼する
デザインがある程度決まっている場合は、施工だけを行う業者に依頼するとコストが抑えられるでしょう。
治療院は開放感のあるデザインが一般的なので、間取りやレイアウトの型がある程度決まっています。
そのため、デザイン会社に依頼しなくても、施工のみを行う業者への依頼だけで工事を進められるケースもあるのです。
デザイン会社は設計だけでなく、ブランディングなどを含めた店舗デザインまで一貫して行うことがほとんどなので、デザイン会社に依頼するとコストが大きく跳ね上がる可能性があります。
また、デザイン会社に依頼してから工事業者に依頼すると、その分開業までの期間が伸びてしまいます。
コストを最小限でに抑えるためには、できるだけ自分で対応する部分を増やし、必要な工程のみ業者に依頼するのがおすすめです。
コストを抑えられるところを変更する
見積もりを受け取った際、施工業者にコストを下げられる部分はないか交渉するのも一つの方法です。
ただし、単純にコストを下げるだけでは内装のクオリティが下がってしまうことになりかねないので、注意してください。
必要な部分のクオリティを保ちつつ、不要な部分のコストを下げるためには、業者との意思疎通が大切です。
内装デザインの明確なイメージや、こだわりたい部分をしっかり伝えたうえで、減額できる部分はないかを聞いてみてください。
減額案をもらうときは、減額することによるデメリットはないか、支障が出る部分はないかをきちんと確認しておきましょう。
コストだけでなく、たしかな実績や技術を持つ施工業者を選ぶと、内装工事の失敗を防げます。
治療院の内装工事着工に取りかかるまでの注意点
治療院の内装工事着工に取り掛かるまでの手順は慎重に進める必要があります。
失敗を防ぐためにも、次の3つのポイントに注意して、万全な状態で内装工事に取り掛かりましょう。
見た目だけでなく実務性も加味する
内装の印象は利用者の好感度に関わってきますが、デザイン性だけを重視してしまうと、実用性がなくなり、業務の効率が悪くなってしまう可能性があるので気をつけましょう。
とくに事務作業に関わる受付まわりのデザインは、実用性を重視するのがおすすめです。
電源の位置や作業動線など、従業員の人数やカルテの保管場所も考慮しながら検討してみてください。
また、セキュリティ対策の観点から、個人情報が利用者に見えないような工夫も必要になってきます。
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施術室が個室になっていない場合、壁やカーテンでしっかりと仕切り、利用者のプライバシーに配慮するデザインを心がけましょう。
また、施術者がより効率的に施術できるよう、機材やベッドの配置を工夫してみてください。
最適な工事業者を選定する
工事業者選びは内装の良し悪しを大きく左右するので、慎重に行いましょう。
工事業者を選ぶときに重要なのは意思疎通がきちんとできていることです。
重視するポイントや理想のイメージの認識がズレていると、完成したときに納得できない点が出てくる可能性があります。
打ち合わせを重ね、細かい部分まで認識を擦り合わせておくと誤差が少ないでしょう。
コストを削減しても、完成イメージがまったく違うということになれば、業務の効率が悪くなり、最悪の場合、再工事にもなりかねません。
まずは実績や技術を確認し、希望を丁寧にヒアリングしてくれる業者を選ぶと時間もコストも無駄にする心配がないでしょう。
物件を借りる場合は細かくチェックする
物件を借りて営業する場合、物件のチェックをしっかり行ってから契約するのがおすすめです。
立地や外観が良くても設備が整っていないと、業務の効率が下がったり、利用者の満足度が低下したりする可能性があります。
たとえば「テナント内にお手洗いがない」というとき、水回りの設備を設けることが難しい物件も存在します。
また、電気の容量が足りないと機材が使えないケースもあるでしょう。
テナントを契約する場合は工事業者に立ち会ってもらう、営業に必要な設備をピックアップしてから物件を決めるなど、設備面を念入りにチェックしてください。
治療院の内装デザイン事例
魅力的な治療院の内装事例を紹介します。
実用性と居心地のよさを両立した、効率的なデザインを参考に、理想の治療院を目指してみてください。
木のあたたかみをベースにしたナチュラルな施術室のデザイン
ナチュラルな木のあたたかみをベースにした施術室のデザインです。
ベッドやラックもブラウンで統一しているため、親近感のある雰囲気に仕上がっています。
仕切りのカーテン使用したくすみブルーのアクセントカラーが、施術中もリラックスできる空間を演出。
天井の照明を間接照明にすることで、明るさを保ちながらも落ち着いた空間が完成します。
アクセントウォールで店舗の雰囲気をラグジュアリーに
受付と後ろのスペースを仕切っている壁をアクセントにすることで、コストを抑えながらラグジュアリーな雰囲気を実現しています。
空間ごとにきちんと区切りながらも圧迫感を軽減できるので、狭い店舗の内装デザインにも最適。
ベースカラーを深みのある木目が、あたたかみと高級感を演出しています。
ナチュラルでエキゾチックな内装デザイン
深みのあるウッドベースにグリーンをアクセントカラーにした施術室は、まるでリゾートのような雰囲気に仕上がっています。
重厚感のあるカラーを低い位置に配置し、明るいカラーを高い位置に配置することで、高級感と広さを演出。
まとめ
治療院の内装デザインは、利用者の満足感や信頼感に直結するので、自院のコンセプトやサービスに合わせて、最適なデザインを検討しましょう。
内装デザインでとくに注意したいのが、配色や間取りです。
配色次第で院内のイメージが大きく変わるので、利用者が落ち着いて施術を受けられる環境を目指してみてください。
また、間取りなどのレイアウトを考えるときは、印象だけでなく導線にも気を配り、業務の効率化を図っていきましょう。
理想的なデザイン、信頼できる工事業者を見つけて、自院のイメージアップを目指してみてください。
監修者プロフィール
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