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クリニック

2022年3月23日

美容クリニック経営で役立つMS法人とは?

MS法人とはメディカル・サービス法人の略で、MS法人という特別な法人制度はありません。MS法人とは、医療系のサービスを行う法人(会社、NPO法人)のことを指す言葉です。美容クリニックを経営する上で、MS法人はどのような役割を担えるのでしょうか。MS法人が持つメリットや、注意を要する点について見てみましょう。

MS法人ができることとは?

医療業界の中には、法令上医療機関でなくてはできない業務というものがあります。しかし実際にクリニックを運営する上で、医療機関以外でもできる業務というものもあります。それらを法人として担当するのがMS法人とよばれる組織です。
医療の関連事業を営利目的で行うことは医療法で規制されています。そのため、医療法人とは別の法人としてMS法人を設立すれば、営利を目的とすることもできることから、クリニックの運営に取り入れているところが増えています。
MS法人が担える業務として、以下のものがあげられます。

  • 会計業務、医療事務、経理事務
  • 清掃業務
  • 給食業務
  • 売店業務
  • 医療機器の管理
  • 備品の管理

医院の規模が大きくなるほど、これらの業務も増えていき、必要な人員も多くなります。本来の医療を担当する医療法人と分け、MS法人に業務委託することで、業務を効率的にこなすことができるようになります。

美容クリニックがMS法人に委託するメリットと注意点

業務効率化のほかにMS法人に委託するメリットとして、所得の分散があります。
化粧品の販売を例にとって説明すると、従来は美容クリニック(医療法人)が1,000円の化粧品を仕入れ、顧客に1,050円で販売していたとします。この場合は医療法人に50円の収入が発生します。しかしこの間にMS法人を入れることで、クリニックが顧客に販売する化粧品を直接仕入れるよりも、MS法人が1,000円で仕入れ、利益を上乗せして1,050円でクリニックに卸す流れをつくります。クリニックは1,050円で顧客に販売することで、販売利益はMS法人に発生することになり、従来医療法人に発生していた収入をMS法人の収入として分散することができます。
そのほかクリニックが自社ビルにある場合は、MS法人に自社ビルを売却し、医療法人に賃貸として貸し出すことで、MS法人と賃貸契約を結ぶという方法をとることもできます。

ただし医療法により「関係事業者との取引の状況に関する報告書の作成義務・開示義務・提出義務」が規定されています。医療法人とMS法人の間で、金額が1,000万円以上の場合や、事業収益または事業費用の総額10パーセントを締める取引がある場合は届け出なくてはなりません。MS法人を利用した行き過ぎた節税にならないよう、業務の委託内容には注意しましょう。

美容クリニックがM&Aを行う場合は?


美容クリニックの経営が順調で、規模を拡大したいと思っても、簡単にいかないのが現実です。なぜなら各都道府県には医療計画があり、その計画に沿ったものでないと承認されないからです。美容クリニックが店舗数を増やしたい場合、現実的な方法として選ばれるのが他のクリニックを対象としたM&Aです。
M&Aを行う際、対象であるクリニックがMS法人に業務委託していると、医療法人だけをM&Aの対象にしても経営を円滑に行うことができません。そのためM&Aを考える場合は、医療法人とMS法人をセットで交渉することが通例になっています。
買収後は、医療法人とMS法人が別であった状態で経営を続けることもできますし、自身の医療法人やMS法人と一本化することも考えられます。
どのような形態にするかは、経営方針と照らし合わせ、関係する専門家と相談しながら検討することをおすすめします。
MS法人への業務委託は、医療に専念できるというメリットや、収益を分配できるなどのメリットがありますが、税制も含め複雑な問題も含んでいます。今後の経営方針として、MS法人の設立を視野に入れているなら、法律の専門家にも相談し不備のないようにしましょう。