新規に美容クリニックを開業する場合、まとまった資金が必要になりますが、その内訳はどういった内容になるのでしょうか。将来的にクリニックの開業を目指している方に、資金に関する基本的な事柄をご説明します。
美容クリニックの開業にかかる費用
新しくクリニックを開業するためには、多くの費用がかかります。その内訳で主なものを上げてみましょう。
- 賃貸料(テナント料)
- クリニックを建築する場合は土地取得費と建築費、既存の所有物件を改築する場合は改築・改装費が必要になります。新規開業の場合、多くは賃貸物件を利用することが考えられますので、賃貸料(テナント料)に加え敷金・礼金・仲介料などが必要になります。
- インテリア、内装工事費
- 美容クリニックのコンセプトにあった内装工事で、他のクリニックとの差別化を図ります。美容クリニックの場合、集客のターゲット層には美的に優れたものを求める人が多い傾向があります。内装やインテリアにも見た目のよいものを選ぶなど、ターゲット層を意識したものにしましょう。
- 医療機器、設備
- 医療機器に関しては最新のものを揃え、集客に役立てたいところです。医療機器以外の設備については、中古やレンタルを活用するなどして、費用を抑えることも可能です。
- 薬品、備品
- クリニックの規模によって異なりますが、月々の想定患者数から割り出すことができます。また、知り合いなどの美容クリニックに勤務することで、おおよその目安を知ることもできます。
- 人件費
- 美容クリニックには、看護師、カウンセラー、受付などのスタッフが必要になります。それぞれ必要な人数を計算し、人件費を算出します。
- 光熱費
- マーケティング費用(広告費など)
オープン当初は収入も少ないため、家賃、人件費、光熱費などのランニングコストも、2~3か月分は開業資金に組み入れておきましょう。
美容クリニックの開業資金を調達するには?
クリニックの開業には多額の資金が必要です。多数の人が借り入れを行い開業資金としていますが、返済に無理がないよう自己資金額は少なくとも全体の5パーセントから10パーセントは用意しておきましょう。平均では10パーセントから20パーセント以上を準備しておいたほうが良いとされています。
資金の不足分は「日本政策金融公庫」「福祉医療気候」「銀行」などからの融資となります。親族から資金を提供してもらうこともありますが、贈与された場合は贈与税がかかりますので、親族からの資金提供も借り入れとして、借用書を発行することをおすすめします。
いずれにしても、それぞれの金利などを比較検討し、無理のない範囲で返済ができるよう、借入先は慎重に検討したほうがよいでしょう。
融資を受ける際に必要なものとは?
融資を受けようとした場合、どの金融機関でも申し込み時に事業計画書の提出が必要になります。
経営の全体像を把握するためにも、美容クリニックの収支計画を含めた事業計画書を作成しましょう。
また、直近2年間の確定申告書、テナント料や内装費、医療機器の見積書なども必要になります。
そのほかの書類として商圏調査のデータ、個人負債の有無や借り入れ状況の証明書、自己資金を証明するものなど、多くの書類を揃えなければなりません。
あらかじめ融資に必要な書類をリストアップし、開業を予定している時期に間に合うよう、審査には余裕をもって臨むようにしましょう。
美容クリニックを開業するにあたり融資が必要な状態であっても、経営を圧迫することがないよう、融資額はなるべく低く抑えたいものです。特に医療機器は高額なものが多いため、開業時に絶対に必要なものはなにかを絞り込み、2年先、3年先を見据えて事業計画を立てるのもよいでしょう。
個人で美容クリニックの開業を目指すなら、なるべく早くからリサーチを兼ね準備をはじめることをおすすめします。