一般の病院やクリニックとは違い、美容クリニックの施術には保険診療外のものが多く、自由診療が大きな比率を占めています。自由診療の場合、施術費をどうやって決めるのかは悩むところです。施術費の算出について考えてみました。
自由診療における施術費の算出方法とは?
保険診療が多くを占める医療については、診療費の価格について頭を悩ませる必要はありませんでした。皮膚科などで保険診療に従事していた医師にとって、美容クリニックの経営は価格設定を行わねばならず、戸惑いを感じるているのではないでしょうか。
しかし通常の企業や商店に関していえば、経営者側が価格を決めるのが一般的です。その際、価格決定のよりどころとするものがコストです。
コストとはその施術に掛かる費用です。医療脱毛の場合を例にとると、専門の医療機器に加え消耗品などがかかります。医療機器は1年分のコストをリース代や耐用年数から計算します。また1回の施術に何名のスタッフ必要なのか、時間はどのくらい必要かということも計算しなければなりません。その施術に対する宣伝費や、施術を行う処置室分の家賃などもコストに組み込みます。
計算したすべてのコストの合計が損益分岐点となり、これより下回る金額を施術費用として設定すると損失となり、上回ると収益となります。
競合クリニックの価格設定を知る
損益分岐点を計算したことで、自由診療で設定する最低価格が決まります。しかし最低価格から経営が安定する価格に引き上げるには、いくらに設定すればいいのでしょうか。
美容クリニックのコンセプトや、将来の事業計画に照らし合わせれば、経営に必要な売り上げを確認することができると思います。
月々の売上目標と、来院する患者の想定人数などから、施術の金額を決めることができますが、その金額が顧客にとって適したものなのかも考えなければなりません。自由診療の場合、施術費用は全額自己負担になります。施術が複数回必要なコースになるとより一層負担が大きくなります。高額に設定したため、患者が減ってしまっては元も子もありません。
美容クリニックの施術料金は地域によっても差が見られます。地域の平均的な料金を知るためには、近隣の美容クリニックの料金を調べることが有効です。インターネットで検索すると、施術メニューに加え料金が掲載されていることが多いので、ぜひ参考にすることをおすすめします。
患者が納得する料金設定とは?
周辺の競合クリニックの価格設定を調査した結果、できるだけ他のクリニックより安くするというのは現実的ではありません。無理をして施術費を低価格に抑えておくと、一時的には患者が増えるかもしれませんが、後々経営を圧迫することになりかねないからです。
美容クリニックのコンセプトから、ターゲットにする層を明確にしてみましょう。若年層をターゲットにし、何度もリピーターとして訪れて欲しいなら、キャンペーンなどを設定して価格を抑える方法もあります。またある程度生活に余裕のある層をターゲットとするなら、価格が高めでも集客が可能かもしれません。
最終的には患者が受けた施術に対し、設定された料金が妥当だと感じているかどうかです。患者が内容と金額に納得していれば、その価格は適正であるといえます。
そのためにも、クリニック独自のメニューやサービスなど、他のクリニックとの差別化を図るとよいでしょう。
マーケティングと併せて、ブランディングを行うことで、顧客満足度を上げるようにしましょう。
施術内容と施術費用を見て、費用対効果があると感じれば、患者はリピーターになってくれるでしょう。施術費を最終的に決定するのは、美容クリニックの経営者です。安定した経営を継続させるために、適正な価格を設定しましょう。